最近は、終活の一環としてエンディングノートを書く方が増えています。様々な種類のエンディングノートが存在するため、どれを選んでよいか迷ってしまうという方もいらっしゃるかと思います。
今回は、「エンディングノートの選び方がよくわからない」という方に向けて、エンディングノートの種類、エンディングノートを選ぶ基準、エンディングノートを選ぶ際の注意点などについて解説します。
【 目次 】
1. エンディングノートの種類
現在、エンディングノートには様々な種類がありますが、大きく分けると以下のように分類されます。
(1)市販されているエンディングノート
最近は、多種多様なエンディングノートが市販されています。書店などで、エンディングノートが販売されているのを見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。
文具メーカー、出版社、終活関連企業などが販売するエンディングノートには、シンプルなものから、多機能なものまで、様々な種類が存在します。
例えば、以下のような機能付きの商品もあります。
- 自分史年表が書き込める
- 隠したい部分をスクラッチや袋とじにできる
- CD-ROMが付いている
(2)無料配布されているエンディングノート
葬儀社、司法書士事務所、地方自治体などが無料配布しているエンディングノートもあります。無料配布されているエンディングノートは、製本されているものの他、ホームページ上からPDFなどをダウンロードして自分でプリントアウトする形式が多いのが特徴です。
葬儀社が無料で配布しているエンディングノートには、葬儀の流れなどが記載されていることが多いため、いざという時に役に立つかもしれません。
(3)デジタル版のエンディングノート
近年利用者が増えているといわれているのが、スマホやPCのアプリで作成するデジタル版のエンディングノートです。
デジタル版のエンディングノートには以下のようなメリットがあります。
- アプリをダウンロードするだけで簡単に始められる
- 紙に比べて編集が容易である
- クラウド保存しておけば紛失の心配がない
ただし、デジタル版ならではの弊害として、閲覧するにはスマホやPCにログインする必要があるため、いざという時に家族が見られない可能性があるというデメリットもあります。
(4)普通のノートをエンディングノートにする
専用のエンディングノートを入手しなくても、普通のノートに必要事項を記述する形でエンディングノートを自作することも可能です。自宅にあるノートを利用すればコストもかかりませんし、自分の好きなように項目を設定し、自由に書くことができます。
ただし、エンディングノートを自作する場合は、以下の点に注意が必要です。
- 重要事項についての記載漏れが起きる可能性がある
- 見た人がどこに何が書いてあるかわからない可能性がある
重要事項の記載漏れを防ぐためには、エンディングノートに記載すべき項目を事前にしっかり確認しておくとよいでしょう。
一般的にエンディングノートには、以下のような内容を記述します。
- 自分の基本情報(氏名、住所、生年月日など)
- 資産の情報(銀行口座、有価証券、不動産、借入・ローン、保険、年金など)
- 親族、友人、知人などの関係者の連絡先一覧
- 携帯、パソコンの情報(ログインID/パスワード)
- 医療、介護について
- 葬儀、お墓について
- 相続について
エンディングノートに記載すべき項目については、こちらの記事にまとめていますので、参考にしていただければと思います。
参考記事:エンディングノートの書き方と記載事項を解説・ケース別の記載例
また、見た人がどこに何が書いてあるか一目でわかるようにするためには、目次を作成するとよいでしょう。
2. エンディングノートを選ぶ基準
エンディングノートを選ぶ際は、どのような基準で選べばよいのでしょうか。自分に合ったエンディングノートを選ぶためのポイントについて説明します。
(1)伝えるべき事項が網羅されていること
エンディングノートを作成する目的は、もしもの時に残された人が困らないためです。
そのため、エンディングノートを選ぶ前に、自分にもしものことがあった時、残された大切な人に何を伝えなければいけないかということを明確にすることが重要です。自分が伝えなければいけない情報を明確に把握した上で、その情報をわかりやすく記載できるエンディングノートを選びましょう。
例えば、複数の不動産などの資産を所持している場合は、資産のリストが必要かもしれません。亡くなった時に連絡して欲しい友人や知人が複数いる場合は、簡単な説明を付けたアドレスの一覧表があった方がよいかもしれません。
また、葬儀やお墓についての希望や生前撮影した遺影がある場合は、具体的な希望や遺影の保管場所を伝える必要があるでしょう。
何を伝えるべきなのかよくわからないという方は、弁護士や司法書士など終活に詳しい専門家が監修しているエンディングノートを選ぶと、一般的に必要とされる事項が網羅されているので安心です。
(2)自分が伝えたいことを記載できること
次に、エンディングノートを見る人に自分が伝えたいことは何かということについて考えましょう。
エンディングノートは単なる忘備録ではなく、大切な人に対するメッセージを伝える、自分について知ってもらう、思い出してもらうために使うこともできます。
後から見る人に楽しんでもらいたい、自分を偲んで欲しいという方は、自分が伝えたいことを記載できるエンディングノートを選択するとよいでしょう。
3. 自分史や思い出を綴りたい場合
自分史や思い出を綴りたい場合は、年表形式になっているものや、写真を貼り付けるスペースが多く取られたものを選ぶとよいでしょう。
記述するうちに、過去の思い出が鮮明によみがえり、エンディングノートを作ること自体が楽しい作業となるかもしれません。
スマホやデジカメの中の写真をエンディングノートに使いたいという方は、直接貼り付けることができるデジタル形式のエンディングノートが便利かもしれません。
4. 葬儀やお墓に関する要望を伝えたい場合
葬儀やお墓に関する具体的な要望をお持ちの場合、そのような情報を詳しく記載するスペースがあるエンディングノートを選ぶとよいでしょう。
既に葬儀社と契約をしていて、契約した葬儀社がエンディングノートを配布しているような場合は、それを使用してもよいでしょう。
また、葬儀の参列者についての希望がある場合は、友人知人のリストの欄があるエンディングノートを選ぶとよいでしょう。
お墓や葬儀について既に契約している場合は、契約先の情報を明記しておきましょう。また、生前撮影した遺影写真がある場合は、エンディングノートと一緒に保管するか、保管場所を記載しておくとよいでしょう。
5. 家族にメッセージを残したい場合
家族に対するメッセージを残したい場合は、メッセージ欄のあるエンディングノートを選ぶと良いでしょう。
ただし、エンディングノートに書き込む場合は、誰の目に触れるかわからないということを念頭に、ネガティブな内容や他人の秘密を暴露することに繋がるような内容を記載しないよう注意して下さい。
個人あてにメッセージを残したい場合は、宛名を書いた手紙を添えておくなどしてもよいかもしれません。
6. エンディングノートを選ぶ際の注意点
エンディングノートを選ぶ際は、どのような事に注意をすれば良いのでしょうか。エンディングノートを選ぶ際の注意点について説明します。
(1)見やすく書き込みやすいものを選ぶ
エンディングノートは他人が読むものなので、どこに何が書かれているかわかりづらいものは避けましょう。
手書きのエンディングノートを選んだ場合、口座番号やパスワードが読み取れないという事態を避けるために、デジタル版のエンディングノートと併用してもよいでしょう。
また、記入欄が狭いと必然的に字が小さくなってしまうので、書くことがたくさんある場合は、大判のものや記入欄が大きめのエンディングノートを選ぶことをおすすめします。
(2)一目でエンディングノートだとわかるものを選ぶ
最近は、一見してエンディングノートだとわかりにくいスタイリッシュなデザインのエンディングノートも増えています。しかし、表紙を見ただけでエンディングノートであることがわからないと、他のノートなどに紛れて、いざという時に発見されないという可能性があります。
エンディングノートは、必要な時に見つけられなければ何の役にも立ちません。そのため、一目でエンディングノートだとわかるものを選ぶか、あらかじめエンディングノートの保管場所を家族に伝えておくようにしましょう。
(3)自分らしさを大切にする
エンディングノートに記録するのは、自分自身の個人的な情報です。伝えるべき情報や自分が伝えたい情報を記述できることが大前提ですが、見た目も自分らしいと思えるような好きな色やデザインのものを選ぶことも大切なことだと思います。
まとめ
今回は、エンディングノートの種類、エンディングノートを選ぶ基準、エンディングノートを選ぶ際の注意点などについて説明しました。
エンディングノートは自分にもしものことがあった時に、家族などの相手に対して必要な情報を伝えるためのものです。エンディングノートを選ぶ際は、自分がエンディングノートで伝えたい事項を明確にした上で、その内容を記述するのに適したものを選ぶことが重要です。エンディングノートは家族など近しい人間に残す大切なものなので、自分が心から納得できるエンディングノートを選ぶようにしましょう。
エンディングノートはあくまで私信なので、相続など遺産について記述しても法的な効力はないという点には注意が必要です。相続について希望がある場合は、エンディングノートだけでなく正式な遺言書を作成することをおすすめします。