生前対策

遺影写真は生前撮影すべき?服装、ヘアメイク、撮影場所の選び方も解説

「遺影写真は生前に撮影すべきなのか知りたい」
「遺影写真を生前撮影する場合の服装やヘアメイクのポイントや撮影場所の選び方について知りたい」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

遺影写真はほとんどの場合、故人の遺族が生前の写真の中から選びます。しかし、人が亡くなると生じる様々な手続きや葬儀の準備に忙しい中、遺影にふさわしい写真を探すことは難しく、困るケースも珍しくありません。
そうした経験や、ご自身の葬儀の際少しでも良い写真を使って欲しいという希望もあり、最近では終活の一環として、生前に遺影写真を撮影する方も増えているようです。

今回は、遺影写真を生前に撮影するべきか、遺影写真のヘアメイクのポイント、撮影場所の選び方、写真館で撮影する場合の料金相場、遺影写真を撮影する写真館の選び方などについて説明します。

1.遺影写真は生前に撮影するべきか

終活を行う際に、ご自身の葬儀について考える方も多いでしょう。葬儀には遺影写真が欠かせません。遺影写真は生前に撮影しておくべきなのでしょうか。

(1)遺影として使える写真を探すのは難しい

最近はデジタルカメラやスマートフォンで気軽に写真撮影ができるため、写真撮影の機会自体は増えているように思います。しかし、正面を向いていない、他の人間と重なっている等、遺影として使えない写真が多いのではないでしょうか。
証明写真を遺影として使用しようと思われる方もいらっしゃるようです。確かに証明写真は正面を向いていますが、サイズが小さく、硬い表情で写ってしまうことが多いため、遺影に適しているとは言えないでしょう。

(2)遺影写真の重要性

遺影写真は、亡くなった後に大変重要となるアイテムです。
葬儀に参列した方がまず目にするのは遺影写真です。葬式の形態は宗教や規模にもよって異なりますが、遺影写真はほとんどの場合、最も目立つ場所に飾られます。参列者は遺影写真を前に、故人をしのぶことになります。
また、葬儀が終わった後も仏壇や仏間に飾られることが多いです。仏壇や仏間がない家でも、遺影を処分してしまうことは少ないため、家のどこかに飾られることになります。その他、法要の際に利用されるなど、長い期間に渡って人目に触れ続けることになります。

このような重要な意味を持つものなのですから人任せにせずに、生前に自分が納得できる写真を用意しておく方が良いのではないでしょうか。

(2)遺影写真を生前に撮影するメリット

遺影写真を生前に撮影するメリットとしては、主に以下の2つが挙げられます。

  • 自分が気に入っている写真を使ってもらうことができる
  • 残された家族・親戚の負担を減らすことができる

生前に用意しておくことで、自分自身が納得できる写真を遺影写真にしてもらうことができます。前述したように、長期に渡り多くの人目に触れる写真なので、自分のベストショットを選びたいものです。

残された遺族にとっても、家族が亡くなった時に生じる手続きや葬儀の準備などに追われる中、アルバムやデジタルデータから一枚を選ぶことは容易ではありません。遺影写真が事前に指定されていれば、こうした手間が省けるため遺族の負担を軽減することに繋がります。

(3)生前に撮影した遺影写真の保管場所

生前に遺影写真を撮影した場合、喪主になることが想定される家族にあらかじめ渡しておくか、保管場所を伝えておく必要があります。エンディングノートなどを用意している場合は、そこに添えておくか保管場所について記述しておくのも良いでしょう。

(4)遺影写真のサイズ

遺影写真は、祭壇用として使用するものは遠くからでも良く見えるように大き目サイズ、一般的に四つ切(254mm×305mm)、もしくはA4(210㎜×297㎜)が用いられます。その他、焼香台用にL版(127mm×89mm)や2Lサイズ(178mm×127mm)を使用することもあります。
こうした事情から、上記のようなサイズのものを何種類か用意しておくことをおすすめします。また、USBやSDカード等のデジタルデータを添えておけば、準備の段階で適切なサイズに印刷することができます。

2.遺影写真の服装とヘアメイクのポイント

遺影写真を撮影する際に、どのような服装やヘアメイクをするか悩む方もいらっしゃるかと思います。遺影写真の服装やヘアメイクのポイントについて説明します。

(1)遺影写真のヘアメイク

写真を撮影する際には、きちんとした服装をして、多少のメイクやヘアセットも行った方が良いでしょう。しかし、普段しないような華美な衣装やヘアメイクは不要です。
遺影写真は、家族や親しい友人があなたの死後に眺めてあなたをしのぶためのものです。そのため、写真を見た方があなたらしいと感じるような服装やヘアメイクを心掛けるとよいでしょう。

(2)プロの手を借りるのもおすすめ

自分らしいからといって普段と同じように自分でヘアメイクをするのでは、写真映えがしないかもしれません。そこで、写真撮影の際にはプロの手を借りてはいかがでしょうか。
ヘアサロンやメイクアップスタジオにコンセプトを伝えた上で利用すれば、あなたらしさを損なうことなく美しく写真に映える服装やヘアメイクについて適切なアドバイスを受けることができるでしょう。

3.撮影場所の選び方

遺影写真は、どこで撮影すれば良いのでしょうか。遺影写真の撮影場所の選び方について説明します。

(1)旅先やお気に入りの場所

旅行先やよく行く公園やお店、自宅の書斎などお気に入りの場所なども良いかもしれません。旅先の写真は思い出作りにもなりますので、一石二鳥とも考えられます。
ただし、屋外は日当たりの問題もあり、素人が撮影するのは難しいかもしれません。お店や自宅なども、雑多なものが映り込んでしまいがちで、遺影写真には向かない可能性もあります。

(2)スタジオなどの撮影場所

撮影スタジオなど、撮影に特化した場所を利用するという手もあります。旅行先などに比べて味気ないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、遺影写真は顔が鮮明に映っていることがなにより重要ですので、撮影に適した機材のあるスタジオは適しているといえるでしょう。
また、場所だけ借りるということも可能な場合もありますが、基本的にはスタジオではスタジオに所属するプロのカメラマンに撮影してもらうことになるため、失敗がないというメリットもあります。

4.写真館で遺影写真を撮影するメリット

最近は、写真館でも遺影写真のコースを設けているところが見受けられます。写真館での遺影写真の撮影を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。写真館で遺影写真を撮影するのには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

(1)鮮明に美しく映る

写真を撮影するのは写真館に所属するプロカメラマンです。機材や照明もプロ仕様のものを使用するため、素人が撮影するのとは段違いに美しく鮮明な写真を撮影してもらうことができます。

肌のトラブルや歯の黄ばみなどが気になり、修正を希望される方もいらっしゃるかもしれません。最近の写真館の中には、利用者の希望に沿って修正やレタッチを行ってくれるところも多く存在します。その際もプロ仕様の画像ソフトを使用するため、スマホのアプリの加工のような不自然なものではなく、あくまでさりげなく自然に気になる箇所だけ直してもらうことが可能です。

(2)プロのアドバイスを受けることができる

写真を撮る際に、移りの良い角度や表情についてのアドバイスを受けることができます。顔の角度や姿勢など、自分では気づかない点でも少し直すだけでぐっと写真写りが良くなることもあるでしょう。

(3)ヘアメイクなどのオプションがある写真館も

写真館の中には、ヘアメイクさんが常駐しているところも少なくありません。ヘアメイクはオプションとして予約が必要で別途料金が必要になる場合が多いです。それでも、撮影前に美容院やサロンを利用するよりはお得であることが多く、またヘアメイク後すぐに撮影できるため、途中で崩れてしまうことなく撮影できるというメリットもあります。また、写真館所属のヘアメイクさんの場合、より写真映えするヘアメイクを理解していることが期待できます。

5.写真館で撮影する場合の料金相場

写真館で遺影を撮影する場合の料金の相場は、10000円~20000円程度です。
ショット数やサイズ、枚数などのプランや、ヘアメイクやレタッチなどのオプションによっても異なりますので、事前に調べておくことをおすすめします。

6.遺影写真を撮影する写真館の選び方

遺影写真を殺意する写真館はどのように選ぶと良いのでしょうか。

(1)遺影写真プランがある写真館

最近では、遺影写真プランがある写真館も増えています。遺影写真に特化したプランがない写真館でも、一般的なポートレートとして撮影してもらうことは可能ですが、遺影写真に特化したプランがある写真店の場合は、より遺影写真にふさわしい写真を撮ってもらうことが可能とも考えられます。

(2)公式ホームページの情報を参考にする

公式ホームページの情報を参考にすることも重要です。
公式ホームページにはサンプル写真を公開しているところも多いので、背景や雰囲気などが好みという基準で選ぶのも良いと思います。
また、どうしても好きな場所で撮影してもらいたい場合や、体調に問題がある、施設に入居している等、店舗に出向くことが難しい事情がある場合は、出張撮影などのサービスを行っているか、確認してみると良いでしょう。

まとめ

今回は、遺影写真を生前に撮影するべきか、遺影写真のヘアメイクのポイント、撮影場所の選び方、写真館で撮影する場合の料金相場、遺影写真を撮影する写真館の選び方などについて説明しました。

遺影写真は、あなたの死後、家族があなたをしのぶ際に常に目にする大切な存在です。遺影写真は長く自宅に保存されることになりますので、あなたが亡くなった後に誕生した子孫が遺影写真を見て、あなたのことを知るというケースもあるかもしれません。その子孫にとって遺影写真が唯一のあなたの姿となる可能性すらあるのです。
そのような重要な意味を持つ遺影写真の選択は、人任せにせずに自分で気に入ったものを用意しておくことをおすすめします。

この記事を書いた人
しいば もとふみ
椎葉基史

司法書士法人ABC
代表司法書士

司法書士(大阪司法書士会 第5096号、簡裁訴訟代理関係業務認定第612080号)
家族信託専門士 司法書士法人ABC代表社員
NPO法人相続アドバイザー協議会理事
株式会社アスクエスト代表取締役
株式会社負動産相談センター取締役

熊本県人吉市出身、熊本高校卒業。
大手司法書士法人で修行後、平成20年大阪市内で司法書士事務所(現 司法書士法人ABC)を開業。
負債相続の専門家が、量においても質においても完全に不足している状況に対し、「切実に困っている人たちにとってのセーフティネットとなるべき」と考え、平成23年に相続放棄専門の窓口「相続放棄相談センター」を立ち上げる。年々相談は増加しており、債務相続をめぐる問題の専門事務所として、年間1400件を超える相談を受ける。
業界でも取扱いの少ない相続の限定承認手続きにも積極的に取り組み、年間40件程度と圧倒的な取り組み実績を持つ。

【 TV(NHK・テレビ朝日・フジテレビ・関西テレビ・毎日放送)・ラジオ・経済紙等メディア出演多数 】

■書籍  『身内が亡くなってからでは遅い「相続放棄」が分かる本』(ポプラ社)
 ■DVD 『知っておくべき負債相続と生命保険活用術』(㈱セールス手帖社保険 FPS研究所)

この記事のURLとタイトルをコピーする

関連記事

  1. 任意後見契約書の作成方法|記載内容と注意点を解説

    生前対策

    任意後見契約書の作成方法|記載内容と注意点を解説

    「任意後見契約を結びたいが、契約書の作成方法を知りたい」「任意後見…

  2. 生前対策

    認知症の相続人がいると相続放棄できない?後見人選任の基準と注意点

    自分の父親か母親、もしくはその2人が認知症になってしまった・・・子供に…

  3. 生前対策

    相続で生前にできること・生前対策の手順とポイントを解説

    ご自身が亡くなった後、家族や親族が遺産を巡ってトラブルとなることを望む…

  4. 相続財産目録の作成手順と注意点・記載する財産の種類は?

    生前対策

    相続財産目録の作成手順と注意点・記載する財産の種類は?

    「うちは資産家ではないので、相続財産目録は必要ない」とお考えの人もいる…

  5. 尊厳死宣言公正証書とは?作成方法・費用・相談先を解説

    生前対策

    尊厳死宣言公正証書とは?作成方法・費用・相談先を解説

    自分の終末期について考えた時、過剰な延命措置は望まないという方もいらっ…

  6. 生前対策

    エンディングノートと遺言書の違いとは?目的や法的効力の違いを解説

    人は誰しも歳をとり、やがて死を迎えるもの。若い頃にあくせく働いてきた方…

最近の記事

  1. 尊厳死宣言公正証書とは?作成方法・費用・相談先を解説
  2. 財産管理委任契約とは?典型的なトラブルと回避策も解説
  3. 高齢者の身元保証サービスでのトラブル事例と選び方を解説
  4. リビングウィルには法的効力がある?作成方法と注意点を解説
  5. 身寄りがない方の老後の対策・安心をサポートする契約とは

運用サイト

相続手続きの個別相談のお問合せ
  1. 限定承認

    限定承認とは何か?単純承認との違いやメリット・デメリット
  2. 生前対策

    エンディングノートの選び方を目的別に解説・選ぶ際の注意点も
  3. 限定承認

    限定承認の費用相場と生前・死後手続きの違いも合わせて解説
  4. 生前対策

    エンディングノートの保管場所を決める際の留意点・おすすめの保管場所は?
  5. 相続放棄

    空き家が相続財産に含まれる場合の問題点と解決方法
PAGE TOP