個人再生にはメリットだけでなく、デメリットが存在します。ですが、デメリットを恐れるあまり、借金問題の解決を先延ばしにしてはいけません。
この記事では、借金問題でお悩みの方に向けて、個人再生の仕組みやメリット・デメリットに加えて手続きの流れなども解説していきます。

目次
個人再生のデメリット

個人再生は多くの債務者にとって救済策となりますが、いくつかのデメリットが存在します。
手続きに費用がかかる
個人再生の手続きには、申立時に裁判所に予納する予納金や弁護士への報酬など、総額で50万円から60万円程度の費用がかかります。
長期間にわたる返済義務がある
個人再生では、裁判所が認可した返済計画に基づいて、通常3年から5年の期間で借金の返済を続ける義務があります。
経済的状況が大きく変動した場合でも、返済計画の変更は難しく、返済が厳しくなる可能性があります。
手続きが複雑で時間がかかる
個人再生の手続きは、債務の状況、収入、生活費などの詳細な情報を整理し、適切な返済計画を作成する必要があります。
これらの情報は裁判所に提出され、審査されるため、手続きを完了させるまでに数ヶ月から1年以上かかることもあります。
申立てが却下される可能性がある
個人再生の申立ては、裁判所の認可が必要です。結果は予測できません。
過去に再生手続きをしたことがある場合や、ギャンブルが原因の借金である場合などは、再生計画が認可されない可能性があります。
信用情報機関へ情報が登録される
個人再生の手続きを行うと、その情報は信用情報機関に登録され、事故情報として5年間、個人再生の手続きをしたという履歴情報は10年間登録されます。
そのため、新たな借入れやクレジットカードの申し込みが困難になる可能性があります。

個人再生が適用できない債務がある
個人再生では、全ての債務に対して適用可能なわけではありません。
養育費や慰謝料、租税、学資金の貸与を受けた場合の返還義務などの借金は免除されないため、これらを抱える債務者にとっては問題を解決する手段とはなりません。
官報に掲載される
個人再生の手続きは公的なもので、その結果は官報に掲載されます。
掲載される情報は債務者の氏名、住所など個人を特定する情報であり、プライバシーの観点から見れば大きなデメリットと言えます。

返済計画の変更が難しい
個人再生の過程で裁判所が認定した返済計画は、基本的に固定され、返済期間中に収入が減少したとしても簡単には変更できません。
ただし、やむを得ない事情により再生計画の実行が困難となったときは、2年を超えない範囲で弁済期間を延長する変更が可能です。
個人再生のメリット

個人再生には以下のようなメリットがあります。
借金の元金が大幅にカットされる
個人再生の最大のメリットは、借金の元金が大幅にカットされる可能性があることです。最大で借金の元金が10分の1になるため、月々の返済額を大きく減らせるでしょう。
裁判所が承認した返済計画に基づいて返済を行うため、多額の借金があっても、返済能力に応じて債務を大幅に減額することが可能です。
個人再生では、借金の元金が減額され利息も免除されるため、大幅な負担軽減が見込めます
借金の利息がゼロになる
個人再生では、借金の利息がゼロになるというメリットもあります。民事再生法では再生計画認可の決定があった時から利息は免責されると定められています。
自宅や車を手放さなくていい
自己破産の場合、多くの財産を手放さなければならないのに対し、個人再生の手続きでは自宅や車を保持することが可能です。
特に、自宅を手放さずに再生手続きを進められる点は大きな魅力。
住宅ローンは別除権として個人再生の対象外になるため、ローンの支払いを継続すれば自宅を守ることが可能です。ただし、住宅ローンの負担軽減はなく、契約通りの返済が求められる点には注意が必要です。
収入に見合った返済計画が組める
個人再生では、自己の収入に基づいた返済計画を立てることができます。
これにより、無理なく返済を進めることができ、再度の借金に陥るリスクを抑えられます。
債権者からの取り立てや督促が停止する
個人再生の手続きを始めると、法的な効力により債権者からの取り立てや督促が停止します。
これは債権者に対して法的に取り立てを禁止する命令が出るためです。
債務者は精神的な安定を得られます
借金の理由を深く詮索されない
個人再生の手続きでは、基本的に借金を作った理由を詮索されることはありません。
ただし、ギャンブルが原因の借金の場合、裁判所が再生計画を認めない可能性があります。
個人再生の概要
個人再生とは
個人再生は、自己破産を避けながら、借金の返済を円滑に進めることを目的とした法的な手続きです。
過大な債務から解放され、再度社会生活を立て直すことが可能になるため、借金問題に苦しむ多くの人々にとって大きな救済策となっています。
簡単に言えば、裁判所に申し立てをして、借金を大幅にカットしてもらえる制度のこと
個人再生の主な目的は、債務者が持続可能な返済計画を組み、生活を再建することです。法的に保護されながら借金を返済することで、債務者の生活再建と借金の整理を両立することが可能になります。
個人再生の対象者
対象者は、大きな借金を抱えて返済に困っている個人や個人事業主で、家族を養うための生活費や医療費、教育費等で借金を抱えた人々、また自己の事業資金や経営費等で負債を抱えた個人事業主や自営業者等が含まれます。
ただし、一定の要件を満たす必要があります。一定の収入があり、返済計画に基づいて借金を返済する能力があることが条件です。
対象となる債務
個人再生の対象になるのは、住宅ローンを除いた一般の借金で、原則的には無担保のものに限られています。
債務者は裁判所に対して再生計画案を提出し、裁判所の認可を得られれば、その計画に基づいて原則3年の分割払いで借金を返済していくことになります。
個人再生の手続きの流れ
個人再生の手続きは、弁護士に相談し、申立書類を裁判所に提出することから始まります。個人再生を成功させるには、手続きの流れを正しく理解し、必要書類を過不足なく準備することが欠かせません。
全体の流れ
手続きの流れとしては、まず弁護士に相談し、借金の状況を確認してもらいます。そして、裁判所に再生を申し立て、債権者集会で債権者の同意を得たうえで、再生計画案の認可を受けるという運びになります。
スムーズにいけば、申し立てから半年ほどで認可を得られるケースが多いです。
ただし、再生計画の弁済が滞ると、再生手続が取り消されてしまう可能性もあります。弁済計画は慎重に策定し、確実に履行していく必要があります。
まずは弁護士事務所に相談
個人再生の手続きを進めるには、まずは弁護士に相談することが重要です。個人再生は法的な手続きであり、専門知識が必要だからです。
ご自身の状況を弁護士に正直に話して、適切なアドバイスを受けることが、個人再生を成功させる第一歩と言えます。
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼するメリットは以下の通りです。
書類作成を代行してくれる
個人再生の申立書類は複雑で、専門的な知識が必要です。弁護士なら適切に作成してくれるので、書類不備によるトラブルを避けられます。
債権者との交渉を担ってくれる
弁護士が間に入ることで、債権者との交渉もスムーズに進められます。ご自身で交渉するストレスから解放されるでしょう。
再生計画案の作成をサポートしてくれる
弁護士は、あなたの収支を見極めた上で、現実的な返済プランを立ててくれます。無理のない計画案なら、再生が認められる可能性が高くなります。
必要な書類を準備する
個人再生を申し立てる際は、以下のような書類を裁判所に提出する必要があります。
債権者一覧表
あなたが借金をしている全ての債権者の名前と借金額を記載した一覧表です。漏れがないよう正確に記入しましょう。
財産目録
現在のあなたの資産と負債を全て洗い出した目録です。隠さずに全てを正直に申告することが求められます。
収支状況表
あなたの毎月の収入と支出を項目ごとに書き出した表です。赤字の原因を把握するために欠かせない資料と言えます。
再生計画案
今後、あなたがどのように借金を返済していくかを示した計画書です。無理のないスケジュールを立てることが大切です。
書類の内容は、事実に基づいた正確なものでなくてはなりません。うろ覚えの数字は使わず、必ず裏付けとなる資料を添付しましょう。
資産や負債の申告に漏れがあると、再生が認められない可能性があります。財産はありのままを全て洗い出すことが重要です。
再生計画は、無理のない返済スケジュールでなければ意味がありません。あなたの収支を見据えて、現実的なプランを練りましょう。
個人再生が向いている人
定期的な収入がある人
個人再生は、債務の一部を免除し、残りの債務については返済能力に見合った計画を立てる手続きです。
返済計画を立てる必要があり、定期的な収入があることがその前提となります。
そのため、安定した収入があるサラリーマンや公務員、自営業者などは適しています。
借金の総額は大きいが、ある程度の返済能力がある人に向いている
自宅や車などの資産を保持しつつ債務整理をしたい人
個人再生では、自己破産とは異なり、ある程度の資産を保持したまま債務整理を行うことが可能です。
したがって、自宅や車などを保有したまま、債務整理を行いたいと考えている人には個人再生が適しています。
事業を継続しながら債務を整理したい人
個人再生は、事業を継続しつつ債務を整理することが可能です。
自営業者や個人事業主で、事業を続けながら借金問題を解決したいと考えている人に適しています。
長期にわたって信用情報の回復を目指す人
個人再生は、自己破産などと比べて信用情報への影響が比較的軽減されます。長期間にわたって計画通りに返済を続けることで、信用情報の回復を期待することが可能です。
長期にわたって返済を続けて信用情報を回復したいと考えている人には、個人再生が適していると言えます。
個人再生が向いていない人
定期的な収入がない人
個人再生は定期的な収入が必要となります。そのため、収入が不安定な人や、収入源がない人には、個人再生は向いていません。
そのような人は、自己破産などの他の債務整理手段の方が適しているかもしれません。
個人再生は、ある程度の返済能力が前提となる手続きです。返済能力が全くない人にとっては、難しいと言えます。
借金の額が比較的少ない人
個人再生は手続きが複雑で時間がかかり、また一定の費用が必要です。
借金の額が比較的少ない人にとっては、手間や費用を考えると、個人再生は必ずしも最適な選択ではないかもしれません。
繰り返し債務整理を行っている人
個人再生の申し立ては、一定期間内に繰り返すことができません。
繰り返し債務整理を行っている人にとっては、個人再生の申し立てが制限されるため、他の債務整理手段を検討する必要があるかもしれません。
個人再生で人生が変わった人の事例
借金に苦しむ多くの人にとって、個人再生は人生を立て直すための強力な手段になり得ます。
実際に個人再生を利用して、借金地獄から抜け出し、新たな人生をスタートさせた人は少なくありません。
事例①飲食店経営のAさん
飲食店を経営するAさん(38歳男性)は、店舗の売上不振により400万円もの借金を抱え、返済に窮していました。
妻はパートで働き、小学生と幼稚園児の2人の子供がいるものの、借金返済に追われる日々で、家族との時間をほとんど取れない状況でした。
「このままでは家族を路頭に迷わせてしまう」と不安を抱えながら、Aさんは個人再生の手続きを決意。弁護士に相談し、必要書類を整えて裁判所に申し立てを行いました。
その結果、Aさんの借金は大幅に減額され、無理のない返済プランが立てられることになりました。
事例②ギャンブル依存のCさん
パチンコや競艇にのめり込み、気づけば借金が300万円を超えていた。ギャンブル依存に陥っていた契約社員のCさん(28歳男性)。
「ギャンブルから抜け出せない…このままじゃ人生終わりだ」と思い詰めていましたが、個人再生の存在を知り、藁をもすがる思いで手続きに踏み切ります。借金の整理と、ギャンブル依存症からの回復を目指して、決意の第一歩を踏み出したのです。
個人再生の手続きを経て、Cさんの借金は大幅にカットされ、無理のない返済プランが立てられました。
個人再生・自己破産・任意整理の違い

借金問題の解決には、個人再生、自己破産、任意整理の3つの選択肢があります。
ここでは、個人再生、自己破産、任意整理の特徴を比較し、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
3つの債務整理の特徴
個人再生、自己破産、任意整理は、いずれも借金の負担を減らすことができる制度です。しかし、その手続きの内容は大きく異なります。
特徴 | 個人再生 | 自己破産 | 任意整理 |
---|---|---|---|
概要 | 裁判所を通じて借金の一部を減額して返済する手続き | 裁判所を通じて全ての借金を免除する手続き | 裁判所を通さずに債権者と交渉して返済条件を変更する手続き |
手続きの方法 | 裁判所への申し立てが必要 | 裁判所への申し立てが必要 | 債権者との個別交渉 |
対象者 | 安定した収入があるが借金返済が困難な人 | 全く返済能力がない人 | 借金はあるが一部でも返済できる余地がある人 |
効果 | 借金が大幅に減額され、残額を3〜5年間で返済する | 全ての借金が免除される | 借金の減額や返済期間の延長が可能 |
返済義務 | あり(減額された借金を返済) | なし | あり(交渉により決定) |
財産の処分 | 基本的に不要 | 原則として全ての財産が処分される | 不要 |
信用情報への影響 | 約5〜10年間信用情報に記録される | 約5〜10年間信用情報に記録される | 約5年間信用情報に記録される |
手続き期間 | 約6ヶ月〜1年 | 約6ヶ月〜1年 | 数ヶ月 |
費用 | 約30〜50万円 | 約20〜50万円 | 数万円 |
個人再生
- 対象となる債務:原則として全ての債務が対象。住宅ローンは条件次第で継続返済が可能。
- 手続きの流れ:裁判所に申立てを行い、原則3年以内の返済計画を立てて弁済する。
- 減額される割合:個人の収入や資産に応じて、借金が2~8割程度カットされる。
- 手続き完了後の影響:個人信用情報に事故情報が5年間登録される。一定の金額以上の借入などに制限がかかる。
自己破産
- 対象となる債務:原則として全ての債務が免責の対象。ただし、税金や養育費などは免責されない。
- 手続きの流れ:裁判所に申立てを行い、財産を処分。免責が認められれば債務が消滅する。
- 減額される割合:原則として借金が全額免除される。ただし、一定の財産は処分しなければならない。
- 手続き完了後の影響:個人信用情報に事故情報が10年間登録される。クレジットカードの作成や住宅ローンが難しくなる。
任意整理
- 対象となる債務:無担保債務が対象。住宅ローンなどの担保付き債務は対象外。
- 手続きの流れ:弁護士などの代理人が債権者と交渉し、返済条件の変更に合意する。
- 減額される割合:債権者との交渉次第だが、2~3割程度の減額が一般的。
- 手続き完了後の影響:個人信用情報に事故情報は登録されない。ただし、金融機関の内部データには残る可能性がある。
以上のように、3つの方法には大きな違いがあります。どの方法を選ぶかは、借金の種類や金額、今後の生活設計などを総合的に考慮する必要があるでしょう。
個人再生と自己破産の違い
個人再生と自己破産は、どちらも借金問題を解決するための法的な手続きです。しかし、その違いは大きいです。
自己破産は、一般的には全ての債務を免除する代わりに、個人の資産(一部の除外を除く)がすべて清算されるというものです。
対して、個人再生では一部の債務が免除され、また返済計画が立てられるため、ある程度の返済能力がある人にとってはより適した手段となることが多いです。
個人再生と任意整理の違い
任意整理は、債務者と債権者が直接交渉して返済条件を再設定する手続きです。一方、個人再生は裁判所を通じて返済計画を立て、債権者全体の合意を得る手続きです。
任意整理は手続きが比較的簡単で迅速ですが、債権者全体の合意が必要となるために難航することがあります。
個人再生は手続きが複雑で時間がかかりますが、法的な強制力があるため確実性があります。
特定調停とは何が違う?
特定調停は、裁判所を通じて債権者との間で返済計画を立てる手続きですが、主に消費者金融などの無担保債権に対して行われます。
個人再生は不動産を抵当にした債務など、担保付き債権にも対応可能です。手続きが複雑で時間がかかりますが、大きな債務を抱える借金問題を解決できる可能性があります。
自分に合った債務整理の方法を選ぼう
個人再生、自己破産、任意整理にはそれぞれ特徴があり、メリット・デメリットが異なります。借金の状況や今後の生活設計に合わせて、最適な方法を選ぶことが重要です。
適切な債務整理を選ぶには
借金の種類と金額を確認
住宅ローンなどの担保付き債務がある場合は、任意整理の対象外となります。また、借金の金額によって、個人再生と自己破産のどちらが適しているかが変わってきます。
今後の収入見込みを考慮
安定した収入が見込める場合は、個人再生で長期的に返済する方が現実的かもしれません。一方、収入が不安定な場合は、自己破産で債務を清算した方が生活再建がしやすいこともあります。
資産の有無をチェック
自己破産の場合、一定の資産は処分しなければなりません。手元に残しておきたい資産がある場合は、個人再生や任意整理を検討した方が良いかもしれません。
信用への影響を比較
自己破産の場合、信用情報に10年間の事故情報が登録されます。将来的にローンを組む予定がある場合は、個人再生や任意整理の方が有利と言えます。
個人再生を成功させるための重要ポイント
正確な情報を提供する
個人再生を成功させるための最初のステップは、全ての情報を正確に提供することです。負債の額、資産の詳細、収入と支出など含みます。
法的手続きにおいて非常に重要なことで、何かを隠すと問題を引き起こす可能性があります。また、すべての情報が正確でなければ、返済計画を正しく立てることはできません。
生活改善を行う
個人再生の手続きは時間と労力を必要としますが、借金返済に全力を注ぐことが重要です。
生活習慣を見直すことで、無駄な出費を減らし、返済能力を向上させることができます。
予算管理の徹底、支出の削減、必要なものだけを購入するといったことも大切です。
債務整理に強い専門家に相談する
個人再生は複雑な手続きであり、専門的な知識を必要とします。そのため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが非常に重要です。
専門家はあなたが置かれている状況に合わせて、手続きの全過程をサポートしてくれます。
法的な問題が発生した場合には適切なアドバイスもらえますし、返済計画の立案も支援してくれます。
個人再生に関するQ&A
個人再生を検討する際には、さまざまな疑問や不安を感じるものです。ここでは、個人再生に関するよくある質問について、お答えしていきます。
必要な費用はどれくらい?
個人再生を申し立てる際には、弁護士への報酬が必要になります。基本的に、個人再生の弁護士費用は「着手金」と「報酬金」の2種類に分かれます。
依頼する弁護士事務所によって異なりますが、おおよその相場は以下の通りです。
着手金
個人再生の申立書類の作成や裁判所への提出など、手続きを開始するための費用です。着手金の相場は30万円程度が一般的です。分割払いに対応してくれる事務所もあるので、支払い方法は事前に確認しておくと良いでしょう。
報酬金
個人再生の手続きが終了し、再生計画が認可された際に発生する費用です。報酬金の相場は20万円~30万円程度と言われています。着手金と報酬金を合わせた弁護士費用の総額は、50万円~60万円程度が相場です。
この他にも、裁判所に支払う予納金として1万4000円前後、申立手数料として1万円、予納郵券として2000円~4000円などの実費が必要になる場合があります。
個人再生中に新しい借金はできる?
個人再生の手続き中は、原則として新たな借金をすることはできません。これは、新たな借入れによって返済計画が崩れる可能性があるためです。
ただし、裁判所の許可があれば借金ができるケースがあります。手続きを担当する弁護士に相談し、必要性を説明した上で、裁判所に申立てを行う必要があります。
裁判所が新たな借金を認めるかどうかは、以下のような審査基準に基づいて判断されます。
借入の必要性
その借金がどうしても必要不可欠なものかどうかが重視されます。日常生活を送るための最低限の費用、医療費、子供の教育費などが認められやすい傾向にあります。
返済の見通し
新たな借金を個人再生の弁済計画に組み込んでも、きちんと返済できる見通しがあるかどうかがポイントになります。安定した収入があるかどうかなども審査されます。
債権者の同意
新たな借金をすることについて、再生手続きに参加している債権者から同意を得られるかどうかも判断材料となります。
個人再生に失敗するとどうなる?
個人再生に失敗した場合、自己破産など他の債務整理手段を考える必要があります。失敗の理由によりますが、再度個人再生の申し立てが可能な場合もあります。
その際は、手続きが複雑なため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することを強く推奨します。失敗を避けるには、個人再生でやってはいけないことに留意して手続きを行いましょう。
不許可となるケースは?
個人再生を申し立てても、必ずしも認められるとは限りません。裁判所が審査した結果、個人再生の要件を満たしていないと判断された場合、「再生不許可」となってしまうのです。
主なポイントは以下の通りです。
虚偽の情報申告
申立書類に虚偽の記載をしたり、資産を隠したりしていた場合は、再生手続きが却下されます。裁判所に対して正直に情報を開示することが重要です。
過去に再生手続き等をしている
過去に個人再生や自己破産などの手続きをしたことがある場合、一定期間は新たな個人再生が認められません。
弁済計画が不適切
作成した弁済計画が非現実的で履行が難しいと判断された場合も、再生は認められません。無理のない弁済計画を立てることが大切です。
ギャンブル等で借金している
借金の原因がギャンブルや投機目的だった場合、個人再生が認められない可能性があります。これらは浪費とみなされ、債務の減額に値しないと判断されるのです。
まとめ
個人再生には、裁判所の管理下で借金を整理できるメリットがある一方で、手続き完了までの間は、新たな借り入れに制限がかかるなどのデメリットもあります。また、すべての債務が免除されるわけではありません。
安易に考えるのではなく、弁護士とよく相談しながら、適切な対応を心がけましょう。
正確な情報の提供、借金返済への積極的な取り組み、生活改善などが個人再生を成功に導くことを覚えておいてください。