債務整理は司法書士に相談できる!弁護士との違いも解説

債務整理を依頼する場合、弁護士と司法書士、どちらに依頼すべきか迷うことがあります。

本記事では、債務整理における弁護士と司法書士の違いや、それぞれのメリット・デメリット、費用などについて詳しく解説します。

債務整理は司法書士に相談できる

司法書士はどんな仕事をするのか?

司法書士は法律の専門家であり、不動産や会社の登記、成年後見制度の利用支援など幅広い業務を行います。

認定司法書士であれば債務整理にも対応可能です。具体的には以下の業務が含まれます。

  • 任意整理:140万円以下の債務について債権者と交渉し、返済計画を立てる
  • 過払い金請求:利息制限法に基づき過払い金を計算し返還請求する
  • 自己破産・個人再生:申立書類の作成を代行(裁判所への代理権はなし)

司法書士と弁護士の主な違い

司法書士と弁護士はどちらも債務整理をサポートできますが、それぞれの役割や権限には違いがあります。以下にその違いをまとめます。

項目 弁護士 司法書士
主な役割 法的トラブル全般の解決を目的とした代理人 法的書類作成や登記など手続き関連の代理人
扱える債権額 制限なし 1社あたり元金140万円以下に限る
裁判所での権限 全ての裁判所で代理可能 簡易裁判所のみ代理可能
費用相場(任意整理) 1社あたり5~10万円程度 1社あたり3~6万円程度
取り扱い分野 民事、刑事、行政など法律問題全般 登記、遺言、債務整理など限定された分野

司法書士が対応できる範囲

  • 任意整理:1社あたり元金140万円以下の場合に限り代理人として交渉可能
  • 個人再生・自己破産:書類作成代理人として申立書類を作成可能(ただし、裁判所での代理権はなし)

司法書士は法務省認定を受けた「認定司法書士」のみが簡易裁判所での代理権を持ちます。

MEMO
弁護士はすべての案件に対応可能であり、裁判所への代理権も持っています。高額債務や複雑な案件では弁護士が適しています。
注意

過払い金請求も1社あたり140万円以上になる場合は司法書士では対応できません。また、簡易裁判所で訴訟がもつれた場合、地方裁判所以上では新たに弁護士への依頼が必要になります。

費用面での比較

費用面では司法書士が安価な場合が多いですが、案件内容によっては弁護士への依頼が必要になることがあります。

任意整理

  • 弁護士:1社あたり5~10万円程度
  • 司法書士:1社あたり3~6万円程度

 

個人再生・自己破産

  • 弁護士:50~130万円程度(案件による)
  • 司法書士:申立書類作成費用のみ(代理権なし)

司法書士事務所の選び方

司法書士事務所に相談をする際には、信頼できる司法書士事務所を選ぶことが重要です。以下のポイントを参考にしてください。

債務整理の取り扱い件数

 

債務整理の経験が豊富な事務所は、多様なケースに対応できる実績があります。

相談予約のしやすさ

 

メールやオンライン予約が可能で、迅速に対応してくれる事務所がおすすめです。

面談時の雰囲気

 

親身になって話を聞いてくれるか、提案内容が明確かどうかも重要です。

費用体系の明確さ

 

無料相談の範囲や有料サービスについて明確に説明している事務所を選びましょう。

複数の事務所で無料相談を受けて比較検討することで、自分に合った専門家を見つけることができます。

債務整理を司法書士に依頼するメリット

債務整理を司法書士に依頼するメリット

債務整理の手続きを司法書士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

弁護士に比べて費用が安い

司法書士に債務整理を依頼する最大のメリットは、弁護士に比べて費用が安いことです。ただし、事務所によって料金体系が異なるため、事前に確認することが重要です。

任意整理や過払い金請求など簡易な手続きに対応しており、認定司法書士であれば任意整理や過払い金請求に対応可能です。

手続きの負担を軽減できる

司法書士は債務整理手続きの代理人として、交渉や手続きを代行します。これにより依頼者は煩雑な手続きを回避し、スムーズに進めることができます。

  • 債権者との交渉
  • 必要書類の作成
  • 過払い金請求の計算と申請

ただし、地方裁判所以上での訴訟や140万円を超える案件には対応できないため、その場合は弁護士への依頼が必要です。

MEMO
債務整理は個人情報が関わるため、信頼性の高い司法書士を選ぶことが重要です。

債務整理を弁護士に依頼するメリット

債務整理を弁護士に依頼するメリット

債務整理を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。

法的知識と経験による適切な提案を受けられる

弁護士は法律に関する専門的な知識と豊富な経験を持ち、債務整理において最適な解決策を提案してくれます。

任意整理、個人再生、自己破産など幅広い債務整理手続きに精通。債権者の権利や借金返済に関する法律を熟知しており、迅速かつ正確に問題を解決してくれます。

140万円を超える債権額にも対応可能

司法書士が対応できるのは1社あたり元金140万円以下の案件ですが、弁護士はそれ以上の金額にも対応可能です。

債務総額が大きい場合でも安心して依頼できます。高額な過払い金請求にも対応可能です。

裁判所への申立てが可能

弁護士は自己破産や個人再生など裁判所を介する手続きで代理人として申立てが可能です。

書類作成や手続き代行も行い、依頼者の負担を軽減します。裁判所での交渉や訴訟代理も対応可能です。

債権者との交渉で有利な立場を築ける

弁護士は法的手続きや交渉において有利な立場を築くことができます。

債権者との交渉で法的知識を活用し、より良い条件を引き出す可能性があります。法律違反や不当な取り立てへの対処も行ってくれます。

債務整理を司法書士に依頼すべき人

債務整理を司法書士に依頼すべき人

司法書士は特定の条件下で債務整理に対応できる専門家です。以下のような状況では、司法書士への依頼が適している場合があります。

債務総額が比較的小さい場合

司法書士は1社あたり元金140万円以下の債権に限り代理権を持ちます。

債務総額が比較的小さい場合には、司法書士に依頼することで費用を抑えながら手続きを進めることが可能です。

任意整理や過払い金請求など簡易な手続きの場合

司法書士は任意整理や過払い金請求といった裁判所を介さない手続きに対応可能です。これらの手続きでは、認定司法書士が代理人として債権者と交渉することもできます。

注意点として、自己破産や個人再生など裁判所を介する手続きでは、司法書士は代理人にはなれません。

弁護士費用を節約したい場合

弁護士に依頼する場合、費用が高額になることがあります。一方で、司法書士は比較的安価な報酬で対応可能です。

例えば、任意整理なら司法書士の場合1社あたり2~3万円程度、弁護士の場合5~10万円程度です。

過払い金請求は返還額の20%程度が報酬となるケースが一般的です。

債務整理を弁護士に依頼すべき人

債務整理を弁護士に依頼すべき人

以下のケースは弁護士への依頼がおすすめです。

借金が140万円を超える場合

司法書士は1社あたり元金140万円以下の債権に限り代理権を持ちます(司法書士法第3条)。

借金が140万円を超える場合、司法書士では対応できないため、弁護士に依頼する必要があります。

弁護士は債務総額や債権額に制限なく対応可能です。高額な過払い金請求や複数の債権者が絡む案件にも対応できます。

裁判所への申し立てが必要な場合(自己破産・個人再生)

自己破産や個人再生など裁判所を介する手続きでは、弁護士が代理人として申立てや交渉を行うことができます。

弁護士は裁判所とのやり取りや書類作成、財産分配の調整なども代行可能です。司法書士は書類作成のみ対応可能で、代理人にはなれません。

債務整理で争いが予想される場合

債務整理では、債権者との交渉が必要になる場合があります。特に以下のようなケースでは弁護士のサポートが有効です。

  • 債権者との間で争いが発生する可能性がある
  • 債権者からの強引な取り立てや不当な要求がある

弁護士は法的知識と交渉力を活かし、依頼者の利益を守るため適切な対応を行ってくれます。

他の法的問題も抱えている場合

債務整理と同時に、離婚、相続、労働問題など他の法的問題を抱えている場合には弁護士への依頼が適しています。

弁護士は幅広い法律問題に対応できるため、一括して相談・解決することが可能です。複雑な問題に対して適切なアドバイスを受けることができます。

債務整理に関する基本情報

借金問題を解決するためには、状況に応じた債務整理の方法を選ぶことが重要です。主に任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があり、それぞれ異なる特徴があります。

債務整理の概要

債務整理とは、借金の減額や返済条件の見直しを通じて、借金問題を解決するための法的手続きです。

債務整理の流れ

  1. 無料相談:借金状況や返済能力についてヒアリングを受ける
  2. 委任契約:費用説明を受けて契約締結
  3. 受任通知送付:債権者への取り立て停止通知を送付
  4. 取引履歴開示請求:借入額や返済履歴を調査
  5. 引き直し計算:利息制限法に基づき正確な債務額を算出
  6. 返済プラン作成:依頼者の収支状況に基づき無理のない返済計画を立てる
  7. 和解交渉・契約締結:債権者と合意し返済開始

債務整理のメリットと注意点

メリット

  • 借金の減額や免除によって返済負担が軽くなる
  • 取り立てや督促が停止される
  • 生活再建のチャンスが得られる

注意点

  • 信用情報に事故情報として登録され、5~7年間新たな借入やクレジットカード利用が制限される
  • 手続きに費用(弁護士・司法書士費用、裁判所費用)がかかる
  • 自己破産では財産処分や職業制限が発生する場合がある

債務整理に適した人・適さない人

適している人

  • 借金返済が困難で、自力で解決できない状況にある人
  • 今後収入増加が見込めず、督促や取り立てに悩んでいる人

適さない人

  • 借金返済にまだ余裕があり、自力で完済できる見込みがある人
  • 資産売却などで借金問題を解決できる可能性がある人

債務整理の主な種類

債務整理には以下の3つの方法があります。

  1. 任意整理:利息減額や返済期間延長を交渉する方法
  2. 個人再生:裁判所を通じて債務を大幅に減額する手続き
  3. 自己破産:財産処分後、残債務免除を受ける手続き

任意整理

任意整理は、裁判所を介さずに債権者と直接交渉し、利息や遅延損害金の減額、返済条件の調整を行う方法です。比較的簡易な手続きであり、柔軟性が高い点が特徴です。

メリット

  • 裁判所を介さないため手続きが迅速
  • 利息制限法に基づき利息を引き直し計算できる場合がある
  • 返済計画を個別に設定可能

デメリット

  • 法的強制力がないため、債権者の同意が必要
  • 信用情報機関に事故情報として登録される(約5年間)
  • 大幅な減額は期待できない

適したケース

  • 借金総額が年収の5倍以内である
  • 継続的な収入があり、返済可能な見込みがある

個人再生

個人再生は裁判所を通じて借金を大幅に減額し(最大5分の1程度)、3~5年で分割返済する制度です。住宅ローン特則を利用すれば自宅を残すことも可能です。

メリット

  • 借金総額が大幅に減額される
  • 持ち家を残すことが可能(住宅ローン特則を利用)
  • 法的保護が受けられ、取り立てや強制執行が停止される
  • 事業継続が可能(個人事業主の場合)

デメリット

  • 手続きが複雑で時間と費用がかかる
  • 信用情報機関に事故情報として登録される(約5~7年間)

適したケース

  • 借金総額が3,000万円以下で返済能力がある
  • 事業継続や住宅維持を希望する個人事業主や経営者

自己破産

自己破産は裁判所への申し立てによって借金返済義務を免除してもらう制度です。財産を処分し、多重債務から解放される最終手段といえます。

メリット

  • 借金全額の返済義務が免除される
  • 債権者からの取り立てや差押えが停止される

デメリット

  • 財産処分や職業制限(一部職種)が発生する場合あり
  • 信用情報機関に事故情報として登録される(約10年間)

適したケース

  • 借金総額が500万円以上で返済不能な状況
  • 資産がほとんどなく、再出発を希望する場合

一人で悩みを抱え込んではいけません

近年、借金問題に悩む人が増加しています。

借金をする理由は人それぞれであり、不安定な収入や家計管理の甘さ、ギャンブル依存、突発的な医療費負担、事業失敗など多様なケースがあります。

一人で借金問題を抱え込むと、

  • 精神的な負担(うつ病の発症など)
  • 借金増加問題先送りによる利息増加)
  • ストレスから周囲との関係が悪化

などを引き起こしかねません。自分を責めず、助けを求めることが重要です。

まずは無料相談から始めよう

借金問題は一人で抱え込んでも解決しません。専門家への相談は、問題解決への大きな一歩です。無料相談では、債務整理や過払い金請求など、自分に適した解決策について具体的なアドバイスを受けられます。

「家族に知られたくない」「自分で何とかできるかもしれない」と考える方も多いですが、問題を先送りすると状況が悪化するだけです。

勇気を出して行動することで、新しい人生への第一歩を踏み出すことができます。

借金問題は早期解決が重要

借金問題を放置すると、延滞による利息増加や差し押さえなど、事態が悪化する可能性があります。

早期に行動することで、選択肢が広がり、負担軽減につながります。

まとめ

弁護士は裁判所での手続きに強く、争いがある場合に適しています。一方、司法書士は任意整理や過払い金請求などの手続きに適しており、費用も比較的安価です。

債務総額や手続きの複雑さなど、自分の状況に合わせて選ぶことが大切です。

司法書士がおすすめ

  • 債務総額が少なく(1社140万円以下)、簡易な任意整理が必要
  • 費用を抑えたい

弁護士がおすすめ

  • 債務総額が高額または複数社から借入がある
  • 自己破産や個人再生など裁判所での手続きが必要
  • 複雑な案件や高額な過払い金請求が絡む