借金返済に困っているときに、債務整理や国が認めた借金減額などの情報が気になりますよね。
しかし、それらは実際にどのような仕組みに基づくものなのでしょうか?このページでは、借金減額の仕組みについてお伝えします。 メリットだけでなくデメリットもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
目次
借金が減額する仕組みと利用するとどうなるのかを確認
そもそも借金が減額する仕組みは、今の法律のもとではどのような方法があるのか確認しましょう。
自己破産で免責してもらう
最も借金が減額する方法は自己破産です。個人が自己破産をすると、破産法という法律にもとづいて、非免責債権以外の借金は免責してもらえます。
非免責債権については破産法253条に規定があり、代表的なものでは次のようなものが免責されません。
- 税金(1号)
- 養育費(4号ハ)
- 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(2号)
借金についてはすべて免責してもらえ、返済する必要がないので、借金減額方法の中でも最も強力な手段であるといえます。
自己破産について詳しくは以下の記事もご参照ください。
【2024年版】自己破産とは?4つのメリットと9つのデメリットをわかりやすく解説!個人再生で減額してもらう
次に借金が減額するのが個人再生です。民事再生法という法律に基づくもので、借金が最大1/10まで減額され、残った額を原則3年の分割で支払うのが個人再生です。
債務整理をする人の多くの借金の額からすると、個人再生では100万円程度の借金が減額されるパターンが一番多いです。
個人再生について詳しくは以下の記事もご参照ください。
個人再生とは?他の債務整理との違いや手続き方法を徹底解説任意整理で減額してもらう
自己破産・個人再生と並ぶ債務整理方法である任意整理をすると、利息や遅延損害金をカットしてもらうことができます。 任意整理は債権者と借金の減額について交渉するもので、現在ではおおむね利息・遅延損害金をカットする方向で和解できることになっています。
借金の元本が減るわけではないのですが、利息や遅延損害金がカットされることで、完済までのスピードが早まります。
任意整理について詳しくは以下の記事もご参照ください。
任意整理とは?4個のデメリットと12個のメリットをわかりやすく解説過払い金を請求する
かつてグレーゾーン金利と呼ばれていた利率で返済していた時に、法的には利息を返済しすぎていたと評価され、払いすぎていた支払い分を請求できることがあります。 これが過払い金で、過払い金請求をすることで元本が無くなります。
また、取り戻した過払い金で残っている借金の返済が可能となることがあります。 過払い金請求について詳しくは以下の記事もご参照ください。
過払い金請求とは?メリットとデメリットを解説【クレジットカードや住宅ローンはどうなる?】特定調停で減額してもらう
裁判所の調停の手続きで行う債権者との話し合いが特定調停です。 調停の中で利息や遅延損害金を減額する旨の合意ができれば、その合意内容に従って返済することになります。
相続放棄・限定承認で相続債務から免れる
借金を相続してしまった場合には、相続放棄・限定承認という制度を利用すれば、相続した債務を免れる事が可能です。 相続放棄を利用すると、最初から相続人ではなかったとして扱われることが民法に規定されています(民法939条)。
限定承認を利用すると、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきこととすることができます(民法922条)。 手続きの期間が相続開始を知った日から3ヶ月以内にすることに注意が必要です。
時効援用で支払い義務から免れる
時効援用で支払い義務から免れることができる場合があります。 借金は、法律上貸主から見ると「債権」であり債権は民法166条の規定に従って消滅する、いわゆる時効という制度が規定されています。
なお、民法166条の条文では5年の期間が経過していると債権が消滅するように読めるのですが、消滅時効を主張するためには援用(時効の効力を利用する意思表示)が必要です。 実務上は送った書面の内容を証明できる、内容証明郵便を相手に送ります。
借金減額に罠はある?
借金減額をするための制度の概要は以上の通りとなっていますが、借金減額方法について罠はあるのでしょうか?
借金減額と債務整理の関係
まず、借金減額と債務整理という言葉の両方見るのですが、実際には両方とも大きく代わるものではなく、広告表現のために言い換えたにすぎません。
債務整理という表現は、従来弁護士・司法書士の側で、借金問題に関する業務分野をこのように呼んでいたことから、現在でも債務整理と呼んでいます。
債務整理だけでは、実際に借金をしている人としては何をしてくれるのかわからないことも多く、広告効果を狙って借金減額と言い換えることが多くなりました。 そのため、両者は同一のものです。
借金減額をするという広告の罠
借金減額をするという広告があるのですが、中には不適切な表現もあります。 例えば「2023年最新の借金減額方法!」とった広告手法をとることがあるのですが、2023年に新しく自己破産や個人再生のような制度があるように見せかけようとするものです。
実際に、借金減額をする方法は上記の方法(債務整理)のみで、新しい何かがあるわけではないことに注意が必要です。
借金減額シミュレーターは詐欺なのか?怪しいと言われる理由
昨今、弁護士・司法書士・ポータルサイトなどが、借金減額シミュレーターを開発して一般ユーザーに利用してもらおうとすることが増えました。
しかし、これらを怪しいものとして警戒する人も同時に増えました。借金減額シミュレーター(あるいは借金減額診断)が怪しいとされる理由は、
- 広告が多い
- 広告がしつこい
- 広告主がよくわからない団体である
という、広告自体の原因と、
- 利用をしたらしつこく電話をしてくるようになった
- 利用したこともないのに弁護士から電話がかかってくる
という、設置をしている運営元からの働きかけが原因となっています。 また2022年11月7日に、東京弁護士会などが広告の手法として不適切であるとして、指導をしていることが報じられました。 どの内容を選択しても減額できる可能性があるという結果が表示されるので、広告としては不適切であるとするものです。
これに応じて内容を変更した運営元もあれば、問題ないとして従来どおり広告を出し続けている事務所もあります。 債務整理を行えば減額される可能性自体は高いので、このような診断は参考にする程度にとどめ、早めに弁護士・司法書士に相談するようにしましょう。
なお、ざっくりとした指標として、現在の借金がどれくらい減るか知りたい人は借金減額シミュレーターは十分に有用です。
安心できる借金減額シミュレーターを試してみる(提供元:アヴァンス法務事務所)
借金減額シミュレーターについて、さらに詳しく知りたい人は以下の記事をご参照ください。
借金減額シミュレーターは怪しい?借金減額のからくりや嘘がないか考察借金減額をした後どうなる?
借金減額をした後にはどのようなことがあるのでしょうか?
自己破産・相続放棄・時効援用をすると債務から免れる
自己破産・相続放棄・時効援用をすると、債務から免れることができます。返済義務がなくなるので、長期間返済に煩わされる危険性がなくなります。
任意整理・個人再生・特定調停をすると分割して返済をすることになる
任意整理・個人再生・特定調停を行うと、残った債務を分割して返済することになります。 個人再生・特定調停の場合には36回分割を基本に、任意整理では最長60回分割を基本に分割して返済することになります。
借金減額に関する注意したいデメリット
債務整理をするとブラックリストに登録される
任意整理・自己破産・個人再生をすると、その旨が信用情報に記載されます。
この記載があると、新たな借入やクレジットカードの作成・携帯電話の分割購入などができなくなります。
債務整理(任意整理)でもクレジットカードは使える?解決策と注意点 債務整理をすると住宅ローンの審査が通らない?債務整理後の注意点も詳しく解説ブラックリストの情報は一定期間で消える
債務整理の手続き・信用情報を管理する信用情報機関に応じて、5年~10年程度で情報は消去されます。
その間は、デビットカード・プリペイドカード・手持ち資金をしっかり貯めて計画的に利用する、ということが必要となります。
住居の移転・職業などが制限される
自己破産をすると、手続期間中は住居の移転や一定の職業が制限されます。 申立てをして破産手続き開始決定がされてから、免責されるまでの期間、この制限が課されます。
職業の制限がされる場合には、職業制限のない個人再生に切り替えることができるので、あまり心配する必要はありません。
借金減額はどこに相談すればいいのか?
以上のような借金減額はどこに相談すれば良いのでしょうか。
債務整理ができるのは弁護士・司法書士のみ
借金減額の相談をするところはたくさんあるのですが、債務整理を依頼を受けて行うことができるのは弁護士・司法書士のみです。
そのため、借金減額をしたい場合には、弁護士・司法書士に相談するようにしましょう。
債務整理に強い弁護士・司法書士なら無料相談が可能
弁護士・司法書士に相談をするには、費用がかかります。借金返済ができない状況なので、なるべくお金をかけないで借金整理ができるのが望ましいです。 市区町村の法律相談や、地域の弁護士会、法テラスでは、無料で弁護士・司法書士に相談をすることができるようになっています。
ただ、これらの相談では債務整理に詳しい・経験がある弁護士・司法書士に相談できない可能性があります。 債務整理を専門としている弁護士・司法書士であれば、相談を必要としている債務者の境遇に理解があるので、相談は無料としていることがほとんどです。
そのため、最初から債務整理が得意な弁護士・司法書士に、無料で相談するのが望ましいでしょう。
借金の原因についても相談できる
借金減額だけではなく、借金をするに至った原因についても、しっかり相談をして改善しましょう。 生活苦・収入不足などであれば市区町村で生活相談を行い生活保護の給付を受けることができないかを検討するとよいでしょう。
ギャンブル依存症・アルコール依存症など、借金を容易に行うような依存症がある場合には、市区町村や自助グループなどに相談します。
弁護士・司法書士に借金の相談をする中で、自分の状況で力になってくれる相談先を知っているか、聞いてみるのも良いでしょう。
【全国対応】借金減額の無料相談ができる弁護士・司法書士3選
借金減額の強力な手段である債務整理について、無料で相談できる全国対応の弁護士・司法書士をご紹介します。
サンク総合法律事務所
名称 | 弁護士法人サンク法律事務所 (旧:樋口総合法律事務所) |
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所属 | 第二東京弁護士会 |
所在地 | 東京都中央区八丁堀4-2-2 UUR京橋イーストビル2階 |
電話番号 | 0120-281-739 |
代表弁護士 | 樋口 卓也 |
ホームページ | https://thank-law.jp/ |
サンク総合法律事務所は、第二東京弁護士会所属の弁護士法人で、複数の弁護士で個人法務を中心とした案件に対応しています。
サンク総合法律事務所は、代表である樋口卓也弁護士の個人事務所である、樋口総合法律事務所を前身とするもので、たくさんの依頼に対応できるように法人化したものです。 債務整理に関する特設サイトを作っており、借金解決に関する情報を発信しています。債務整理に関する弁護士費用は下記のようになっています。
自己破産・個人再生については公式HPには明記がないので、相談事に聞いて、他の候補の事務所と比較してみると良いでしょう。
内容 | 費用 |
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相談料 | 無料(フリーダイヤル) |
任意整理 |
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過払い金請求 |
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自己破産 | 公式HPには明記なし |
個人再生 | 公式HPには明記なし |
弁護士法人・響
名称 | 弁護士法人 響(ひびき) |
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所在地 |
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電話番号 |
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代表弁護士 | 西川研一 |
ホームページ | https://hibiki-law.or.jp/ |
グループ |
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弁護士法人・響は、全国6ヶ所に拠点を有し、多数の弁護士を抱えるとともに、税理士法人・行政書士法人・社会保険労務士法人・調査会社(探偵)とグループを組んで活動をしている弁護士法人です。 テレビ・ドラマの法律監修など、メディアでも活躍しています。
債務整理についても、債務整理特設サイトを開設しており、蓄積されたノウハウを積極的に発信しています。 弁護士費用は下記の通りです。
内容 | 費用(税込) |
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法律相談 | 0円 |
任意整理 |
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個人再生 |
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自己破産 |
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完済過払い |
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ひばり法律事務所
名称 | 弁護士法人ひばり法律事務所 |
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所在地 | 東京都墨田区江東橋4丁目22番4号6階 |
代表弁護士 | 名村泰三 |
電話番号 | 03-5638-7288 |
FAX番号 | 03-5638-7289 |
業務時間 | 平日午前10時~午後7時 |
公式ホームページ | https://hibari-law.net/ |
弁護士法人ひばり法律事務所は、東京に拠点を置く弁護士法人です。 公式ホームページでは、債務整理に関する情報発信を中心にしていることから、債務整理に強みのある事務所として知られています。
もともとは、代表弁護士である名村泰三弁護士の個人事務所である名村法律事務所が前身なのですが、業務拡大のために弁護士法人となった経緯があります。
費用については下記の通りです。
内容 | 費用(税込) |
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相談料 | 無料 |
任意整理 |
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自己破産 |
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個人再生 |
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過払い請求 |
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過払い金請求を検討しているときには、成功報酬のみで、当初の依頼には費用がかからないので、積極的に検討してみてください。
【2024年版】ひばり法律事務所の口コミや評判を解説!任意整理の費用も分かるまとめ
このページでは、借金減額の仕組みを中心にお伝えしました。 なかなか気軽に話題にできるものではない借金減額についての制度の概要を確認した上で、どうしても広告方法で怪しいと感じてしまうことがあることを知っておいてください。
借金返済ができないような場合・苦しい場合には、悩むよりも早めに弁護士・司法書士に相談しましょう。