この記事では、任意整理後の一括返済の可能性と具体的な方法、手続きの流れなど詳しく解説していきます。
借金の大幅カットの可能性があるため、ぜひ参考にして下さい。
目次
任意整理後に一括返済はできるのか
任意整理後に一括返済は可能
結論から言うと、任意整理後でも一括返済は可能です。任意整理とは、借り主と債権者との話し合いによって返済方法を決める私的整理の一種です。
裁判所を通さず柔軟に返済プランを立てられるため、一括返済を希望すれば、債権者と交渉することができるのです。
一括返済を認めてもらう条件
ただし、一括返済を認めてもらうためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 一括返済に必要な資金を用意できる
- 債権者に対して誠意を示し、一括返済の意思を伝える
- 一括返済後の生活再建の見通しを立てている
特に資金面の準備は重要です。友人・知人からの借入れや資産の売却など、確実に一括返済できる目処を立てておくことが求められます。
一括返済の具体的な方法
任意整理後の一括返済には、主に以下の2つの方法があります。
債権者との直接交渉
債権者に連絡を取り、一括返済の意思を伝えて交渉する方法です。債権者との信頼関係が築けている場合は、この方法で一括返済が認められることもあります。
ただし、法律知識がないと交渉で不利になるおそれがあるため、弁護士等の同席が望ましいでしょう。
弁護士・司法書士への依頼
任意整理の代理人である弁護士・司法書士に、一括返済の交渉を依頼する方法です。法律の専門家が交渉することで、債権者から一括返済を認めてもらいやすくなります。
報酬が発生しますが、確実に進めたい方にはおすすめの方法と言えるでしょう。
一括返済する際の手続きの流れ
任意整理後に一括返済する際の具体的な手続きの流れは、以下の通りです。
- 一括返済の資金を用意する
- 弁護士・司法書士に相談し、一括返済の交渉を依頼する
- 債権者との交渉により、一括返済の条件(金額・期日等)を決定する
- 合意書を取り交わし、条件通りに一括返済を実行する
- 債権者から債務の完済を示す書類を受け取る
- 各種手続き(強制執行の停止、信用情報の更新等)を行う
手続きを進める際は、弁護士・司法書士とよく相談しながら、的確に対応することが大切です。法律の専門知識を持つ専門家が間に入ることで、債権者との交渉もスムーズに進められるでしょう。
一括返済のための新たな借入はおすすめしない
任意整理によって借金を大幅に減額できたのに、一括返済のために新たに借金をするのは本末転倒と言えるでしょう。
「借金を返済するための借金」であっても、新たな返済負担が生じることに変わりはありません。
新たな借入は、金利負担という新たなコストを生むだけでなく、返済が滞れば再び多重債務に陥るリスクもあります。
任意整理後に一括返済するメリット
任意整理後に残った借金を一括返済できれば、心理的・経済的な大きなメリットがあります。
借金問題から完全に解放される
借金を背負っていると、心理的に大きなストレスを感じるものです。任意整理を行えば、借金の大部分を減額できるため、返済の負担は大幅に軽減されます。
しかし、まだ残っている借金については返済義務があります。残債務を一括返済することで、借金問題に終止符を打つことができます。
月々の返済に追われる生活から解放され、心理的な重荷からも開放されるでしょう。
返済原資を他の目的に使える
任意整理によって借金が減額されても、残債務の返済は続けなければなりません。毎月の返済額は減るでしょうが、完済までは一定の支出が必要です。
その返済原資を、一括返済に充てることで別の目的に使えるようになります。例えば、老後の蓄えや子供の教育資金などに回すことができるでしょう。
また、任意整理後は新たな借り入れが難しくなりますが、返済原資を手元に残しておけば、もしもの時の備えにもなります。
クレジットカードの審査に通りやすくなる
任意整理をすると一定期間はクレジットカードの利用が制限されますが、残債務を一括返済して完済にすれば、事情は変わってきます。
借金問題に区切りをつけたことで、クレジット会社から信用を得られる可能性が高まります。
一括返済できた事実は、借り入れをする際の大きなアピールポイントになります。カードローンなどの借り入れにおいても、同様の効果が期待できます。
任意整理後に一括返済するデメリット
ここでは、任意整理後の一括返済で注意すべきデメリットについて詳しく解説していきます。
手元資金が大幅に減ってしまう
任意整理で借金を減額できたとしても、まとまった資金を用意して一括返済しなければなりません。
ボーナスを全額充てたり、貯金を取り崩したりする必要が出てくるかもしれません。その結果、急な出費への備えが乏しくなるなど、手元資金が厳しくなってしまう恐れがあります。
事故情報の登録期間は変わらない
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。一括返済したとしても、この事故情報の登録期間は変わりません。具体的には、以下のようなデメリットが考えられます。
- 住宅ローンの審査が通りづらくなる
- クレジットカードの作成が難しくなる
- 賃貸物件の審査で不利になる場合がある
任意整理後の一括返済を成功させるには?

任意整理後の一括返済を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。
無理のない資金計画を立てる
任意整理後の一括返済を成功させるには、まず無理のない資金計画を立てることが重要です。一括返済の目標金額と時期を設定する際は、以下の点に注意しましょう。
今後の収入と支出を正確に把握する
一括返済の計画を立てる前に、今後の収入見通しと支出内容を改めて確認することが大切です。毎月の生活費や教育費、住宅ローンの返済など、必要な出費を洗い出し、余剰資金がどの程度見込めるかを把握しておきましょう。
余裕を持った返済期間を設定する
「1年以内に完済」など、短期間での一括返済にこだわる必要はありません。生活の安定を最優先に考え、ゆとりを持った返済期間を設定することをおすすめします。余裕を持てば、途中で予期せぬ出費があっても対応しやすくなります。
無理のない返済金額を設定する
月々の返済金額は、手取り収入の20%程度が目安だと言われています。生活費を切り詰めすぎず、家族の必要なお金も確保できる金額を設定しましょう。少し時間はかかっても、確実に返済を続けられる計画を立てることが肝心です。
ボーナスの時期に合わせて支払う
任意整理後の一括返済のタイミングを選ぶ際は、ボーナスの支給時期に合わせることを検討してみてください。ボーナスを使えば、通常の月々の返済よりも大きな金額を一括で支払えます。返済期間の短縮につながります。
給料とは別にボーナスを返済に充てれば、毎月の生活費を圧迫せずに済みます。不足分は日常の節約や副収入で工面しやすくなります。
また、早期の完済を目指す明確な区切りができ、「次のボーナスまでに返済額を増やそう」という意欲が高まります。計画的な返済に取り組みやすくなるでしょう。
ただし、会社の業績によっては、ボーナスが減額や不支給になるリスクがあります。ボーナスに全面的に頼った返済計画は避けましょう。
ボーナスのほとんどを返済に回してしまうと、他の出費が賄えなくなる恐れがあります。目安として、ボーナスの30%程度を返済に充てる計画がおすすめです。
親族に無心するのは最終手段
どうしても自分の資金だけでは一括返済が難しい場合、親族に援助を頼むことを検討する人もいるかもしれません。
しかし、これはなるべく避けたい方法です。安易に親族に頼ると、かえって関係が悪化したり、新たな借金のもとになったりするリスクがあるからです。
親族からの信頼を損ねないためにも、借金の理由は正直に話す必要があります。恥ずかしい思いをするかもしれませんが、隠し事をするのは賢明ではありません。
親族からの借入れも、いずれは返さなければなりません。返済の目途が立たないのに、安易に借りるのは避けましょう。
任意整理後の生活について
ここでは、任意整理後に着実に借金を減らしていくための家計管理のコツと、借金問題によるストレスへの対処法をお伝えします。
着実に借金を減らす家計管理のコツ
任意整理で借金を大幅に減額できたら、残った借金をどう返済していくか、しっかりとした計画を立てましょう。具体的には、以下のようなステップを踏むのがおすすめです。
家計簿をつける
毎月の収入と支出を記録することで、お金の流れが「見える化」できます。スマホのアプリなどを活用すれば、簡単に始められるでしょう。
不要な支出を見直す
家計簿で支出内容を分析したら、無駄遣いはないか、削減できる部分はないかをチェックしましょう。習慣になっている小さな支出も、積み重なれば大きな額になります。
予算を設定する
生活費や趣味、交際費などの項目ごとに、月々の予算を設定するのも有効な方法です。予算を決めておけば、その範囲内でお金を使うように心がけられます。
買い物はよく吟味する
衝動買いは借金を減らす家計の大敵です。本当に必要なものかどうか、よく考えてから買うようにしましょう。特売品を賢く活用したり、ジェネリック品に切り替えたりと、工夫次第で節約の幅は広がります。
貯金の習慣をつける
毎月の返済を着実に行いながら、できるだけ早く借金完済を目指すためには、余剰資金を貯金に回すのが得策です。僅かでも構いません。コツコツ貯めることを習慣づけましょう。
借金問題によるストレスへの対処法
借金問題は、経済的な苦しみだけでなく、精神的にも大きなストレスとなります。任意整理によって返済の目途が立ったとしても、すぐにストレスから解放されるわけではありません。
ストレスを一人で抱え込まず、信頼できる家族や友人、専門家に相談することで心の重荷を軽くしましょう。
また、自分なりのリラックス法を見つけ、趣味や軽い運動、音楽などを楽しむ時間を作ることが大切です。借金返済は長い道のりですが、日々の小さな達成感を味わうことでモチベーションを維持できます。自分を責めず、肯定的な言葉がけを繰り返すことも重要です。
まとめ
今回は、任意整理による借金の一括返済の可能性や方法について解説しました。
親族への無心は最終手段です。ボーナス払いなどで任意整理後の一括返済を検討する際は、デメリットをしっかりと認識し、慎重に検討しましょう。