個人再生はどのような流れで進むのか、具体的に何をすべきなのか把握するのが簡単ではありません。
本記事では、個人再生の全体的な流れを詳しく解説していきます。すでに手続きを進めている人も、ぜひ参考にしてくださいね。

目次
個人再生手続きの流れ
個人再生の手続きは、複雑で専門的な知識を必要とします。大まかには法律相談の開始、必要書類の準備、そして個人再生の申立てというステップで進行します。
それぞれのステップを詳しく解説していきましょう。
①専門家に相談する
個人再生手続きを始める最初のステップは、弁護士や司法書士などの専門家との法律相談です。まず、専門家に自身の財政状況、借金の総額、収入状況などを詳しく説明しましょう。
その上で、個人再生が最適な手続きであるか、または他の債務整理手段を検討すべきかを専門家からアドバイスを受けます。
②必要書類の準備
次に、個人再生手続きに必要な書類を準備します。これには、収入や財産状況、借金の詳細などを証明するための書類が必要です。
具体的には、源泉徴収票、給与明細、預金通帳の写し、不動産の登記簿謄本、借金の詳細を示す契約書や利息計算書などが必要となります。
これらの書類は、裁判所が返済計画を審査する際の重要な根拠となります。
③個人再生の申立て
必要書類が揃ったら、弁護士や司法書士と一緒に裁判所へ個人再生の申立てをします。申立てには、財産状況報告書、債務整理計画案、裁判所への申立て料などが必要です。
個人再生の申立てが受け付けられると、裁判所から債権者に対する一時的な返済停止命令が出されます。
その後、裁判所は提出された書類を審査し、債務整理計画案が適切であるかを判断します。これが承認されると、正式に個人再生手続きが開始されます。
申立てを行った後も、弁護士や司法書士と密接に連絡を取り合い、進行状況を確認します。裁判所からの通知や要求に対応するため、法律専門家との連携は重要です。
申立てから裁判所の判断までの流れ
個人再生の申立てから裁判所が最終的に債務整理計画案を承認するまでの間には、いくつかのステップが存在します。
ステップ1:裁判所への申立て手続き
個人再生手続きを始めるためには、まず裁判所へ申立てを行う必要があります。
申立ては通常、弁護士や司法書士を通じて行われ、財産状況報告書、債務整理計画案、申立て料などが必要となります。
ステップ2:債務整理計画案の提出
申立ての際には、債務整理計画案も同時に提出します。これは、今後どのように返済を行うかを具体的に示したもので、収入や生活費、返済可能な金額などを詳細に記載します。
ステップ3:裁判所からの仮処分命令
申立てが受理されると、裁判所は債権者に対して一時的な返済停止命令を出します。これにより、債務者は返済の圧力から一時的に解放され、手続きを進めやすくなります。
ステップ4:債権者への意見書提出期間
その後、債権者に対しては債務整理計画案への意見書を提出する期間が設けられます。債権者はこの期間中に、提案された計画に対して意見や異議を裁判所へ提出できます。
ステップ5:裁判所の判断と債務整理計画案の承認
意見書提出期間が終了すると、裁判所は債権者からの意見を考慮に入れ、最終的に債務整理計画案を承認するか否かを決定します。
裁判所が債務整理計画案を承認すれば、個人再生手続きは正式に開始され、計画通りに返済を進めていくこととなります。
専門家から一言
計画案が承認された後の流れ
裁判所に計画案が承認されると、その後は実行に移ります。
ステップ1:承認された債務整理計画の実行
裁判所によって債務整理計画が承認されると、その計画に従った返済が始まります。
計画は個々の債務者の収入や生活費、返済能力に基づいて作られていますので、理論的には債務者が返済を続けられる形となっています。
ステップ2:定期的な報告と返済状況の確認
債務整理計画の実行中は、定期的に弁護士や司法書士、裁判所へ報告を行います。これには、返済状況の確認や収入の変動、生活費の変化などが含まれます。
これにより、計画が順調に進行しているか、あるいは見直しが必要かどうかが判断されます。
ステップ3:再生手続きの終了
計画通りの返済がすべて完了すると、再生手続きも完了します。この時点で、債務者は法的に借金から解放されます。
裁判所からは再生完了の決定が出され、これが債務整理手続きの最終的な終了を意味します。
個人再生の概要
ここでは個人再生の基本的な意味や他の債務整理手段と比較した場合の位置づけなど解説します。
個人再生とは何か?
個人再生は、財政的に困難な状況にある個人が、裁判所の承認を得て借金を再編成し、返済計画に基づいて借金を整理する手続きです。
個人再生手続きを利用すれば、借り手は自身の生活水準を一定程度保ちつつ、返済可能な範囲で借金を返済することが可能になります。
また、裁判所の承認により、債権者からの追求を一時的に停止させることも可能になります。
個人再生が必要となる状況
個人再生を検討すべき状況は以下の通りです。
- 借金の返済が困難になり、生活に影響を及ぼすようになった場合
- 収入は一定程度あるものの、借金の返済が長期にわたることから金利負担が大きく、借金が増え続ける一方である場合
- 何らかの理由で一時的に収入が途絶え、これまでの返済計画が破綻した場合
他の債務整理との比較
個人再生は他の債務整理の手段と比較して、一部の財産を保持しつつ返済計画を立てることが可能という特徴があります。
自己破産と比較
財産の大部分を手放す必要がありますが、個人再生では生活に必要な最低限の財産を保持することが可能です。
任意整理と比較
債権者全員と個別に交渉する必要がありますが、個人再生では一括して裁判所に申し立てることで、全ての債権者に対する返済計画が認められます。
ただし、個人再生には以下の要件があります。
- 返済計画に基づいて一定の収入が見込まれること
- 借金の大部分が消費者金融などの貸金業者からの借入れであること
これらの要件を満たさない場合、自己破産や任意整理など他の手段を検討する必要があります。
個人再生にかかる時間
個人再生の手続きは、多くの場合、申立てから裁判所の承認までに数ヶ月から1年程度かかることが多いです。申立てから裁判所の判断までの時間は、個々の状況や裁判所の状況によります。
また、債務整理計画の実行期間は、個々の返済計画によりますが、3年から5年程度が一般的です。したがって、全体の手続きが完了するまでには、数年かかることが一般的です。
個人再生と破産の違い
個人再生と破産は、どちらも債務整理の手段ですが、その目的と手続きが異なります。
個人再生は、債務者が一部の債務を免除され、残りの債務を計画的に返済することで、経済的な再生を目指す手続きです。
これに対し、破産は、債務者が全ての財産を売却し、得た資金で債権者に分配することで、債務からの解放を目指す手続きです。
個人再生中に新たな借入は可能か
基本的に、個人再生手続き中は、新たな借入れをすることは難しいとされています。
理由としては、まず債務整理手続き中は信用情報機関にその情報が登録され、新たな借入れを制限されることが多いです。
また、個人再生は定められた返済計画に基づいて返済を進めていく手続きであり、新たな借入れはその計画を狂わせる可能性があるからです。
ただし、やむを得ない理由での借入れが必要な場合は、裁判所の許可が必要となります。
専門家から一言
個人再生のメリットとデメリット
個人再生手続きには多くのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。詳しく見ていきましょう。
個人再生のメリット
借金が大幅に減額される
個人再生手続きを行う最大のメリットは、借金の大幅な減額が可能であるという点です。一定の条件を満たせば、借金を半分以下、場合によっては更に大きく減らすことが可能です。
家や車を手放さずに済む
個人再生手続きは、自宅や車などの大切な資産を手放すことなく借金問題を解決できる手段です。
個人再生のデメリット
手続きが複雑で時間がかかる
個人再生の手続きは法的に複雑で、また裁判所の手続きも必要なため時間がかかります。
一定の収入が必要
個人再生手続きを成功させるためには、計画的な返済を行うための一定の収入が必要です。
費用が高い
法律家に依頼する場合、個人再生の手続きは任意整理などと比べて費用が高くなります。
専門家から一言
個人再生を成功させるためのポイント
個人再生を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえることが必要です。ここでは主要な3ポイントをご紹介します。
信頼できる専門家に依頼する
個人再生は法律的に複雑で、適切なサポートなしでは難しい場合が多いです。経験豊富な弁護士や司法書士を選ぶことで、手続きを円滑に進めることができます。
そのためには、信頼できる法律家を選ぶことが重要となります。選び方のポイントとしては、その人の経験、専門知識、評判に加えて対応の良さも大切です。
正確な情報提供を心がける
手続きを進めるにあたり、正確な情報を提供し、必要な書類を準備することが求められます。
収入や負債、財産などの情報が不正確だと、申立てが却下される可能性があります。また、必要な書類をすぐに揃えられるよう、早めの準備を心がけましょう。
計画的に返済を実行する
個人再生の目的は、計画に基づいた返済を通じて借金問題を解決することです。そのため、債務者自身が計画を守り、返済を続けることが求められます。
生活費を確保しつつも、可能な限り返済を優先することが重要です。
個人再生に必要な費用
個人再生手続きには、一定の費用が必要です。主に、弁護士や司法書士への支払いと、裁判所への支払いの2つが存在します。
弁護士・司法書士に対する支払い
個人再生の申立てを進めるためには、専門的な知識と経験を持つ弁護士や司法書士の助けが必要です。
報酬の金額は弁護士や司法書士によりますが、一般的には40万円から60万円程度が相場です。実際の支払いは分割払いに応じてくれるケースが多いです。
具体的な金額は、契約内容によるため、事前にきちんと確認しましょう。
裁判所に対する支払い
裁判所への申立てには、申立て費用や裁判所への報酬が必要です。申立て時に支払うのが一般的です。
裁判所への支払いは一般的に数万円程度ですが、具体的な金額は裁判所の定める規則によります。
主な費用は以下の通りです。
申立て費用
個人再生の手続きを裁判所に申し立てる際に必要な費用です。申立て費用は通常、1万円の収入印紙が必要です。
裁判印紙
裁判所に提出する書類に貼るもので、金額は手続きの種類や内容によって異なります。申立ての内容によりますが、個人再生の場合、1万円程度の収入印紙が必要です。
官報公告掲載費用
官報公告掲載費用とは、債務整理手続きや破産手続きなどを行う際に、その事実を一般に知らせるために必要となる費用のことです。費用は裁判所によって異なりますが、1万4000円前後です。
書類送付費用
債権者や他の関係者への書類送付には、郵便費用が発生します。これも手続き費用の一部となります。費用は郵便料金を基に計算され、2000円から4000円程度となることが多いです。
まとめ
個人再生は、借金の返済が困難になった際に、再生計画を立てて自身の経済状況を再建するための手続きです。
手続きは複雑で時間がかかるものの、適切に進行させることで、債務の一部が免除され再スタートすることが可能となります。
成功するためには正確な情報提供や計画的な返済が重要です。