「借金を任意整理したいけど、本当に大丈夫かな…」
「店の存続のためには任意整理しかないのかも…でも不安だ」
こんな風に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
債務整理の中でも、比較的手続きがシンプルであるため、多くの人々が任意整理を選択しています。しかしながら、状況によっては任意整理を行うことが適切でないケースがあります。
任意整理は借金を減らせる強力な手段ですが、すべての人に最適とは限りません。
事業や生活を守るには、オーダーメイドの債務整理プランが必要不可欠です。
今こそ、あなたに合った解決策を探るチャンスです。
この記事では、借金返済に窮している方に向けて、
- 任意整理をしない方がいいケースとは?
- 任意整理のメリット・デメリットを徹底解説
- 個人再生や自己破産など、任意整理以外の選択肢も提案
上記について、司法書士としての知見と経験を交えながら、わかりやすく解説しています。
債務整理の代表的な手続きのひとつである任意整理について、どのようなケースで避けるべきかについて、詳しく解説します。
目次
任意整理をしない方がいいケースとは
- 事業を続けたい個人事業主
- 将来的に借金完済を目指す
- 大切な資産を守りたい
- 元金36回~60回分割にした毎月の返済ができない
- 3年~5年の間に収入が下がる
- 弁護士・司法書士の費用がカットされる借金よりも高い
- もともとの金利が低い
- 一時的に支払えないだけにすぎない
- 税金等の支払いができない
任意整理は借金を減らせる有効な手段ですが、全ての人に適しているわけではありません。
事業を継続したい個人事業主や、大切な資産を守りたい人にとっては、任意整理よりも他の選択肢の方がメリットが大きい場合があるのです。
ここでは、任意整理をしない方がいいケースについて、具体的に解説していきます。
あなたの状況に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
事業を続けたい個人事業主
飲食店や小売店などを経営している個人事業主の方にとって、店舗の存続は何より大切な課題だと思います。
「売上が激減し、家賃や仕入れ代金の支払いに困っている」
「このまま店を閉めるわけにはいかない」
そんな思いを抱えている方もいるのではないでしょうか。
任意整理は借金を減額できるメリットがある一方で、事業用の借入は対象外になることが多いのです。
つまり、任意整理をしても店舗の家賃や仕入れ代金などのビジネスローンは減額されず、返済義務が残ってしまいます。
その結果、店舗経営の負担が重くのしかかり、事業継続が難しくなるケースがあります。
経済産業省の中小企業庁が実施した調査によると、中小企業の倒産件数のうち、「資金繰りの悪化」が原因だったのは全体の約40%に上ったそうです。
コロナ禍で売上減少に直面した個人事業主にとって、資金繰りの改善は喫緊の課題と言えるでしょう。
このように事業を継続するためには、店舗の家賃や仕入れ代金なども含めて借金を減額する必要があります。
その点では、個人再生という債務整理の方法がより効果的だと言えるかもしれません。
個人再生なら、ビジネスローンも対象に含められるので、事業に必要な資金を確保しながら借金を大幅にカットできるのです。
事業を続けたいのなら、任意整理に飛びつく前に以下のような選択肢も検討してみてください。
- 個人再生で事業用の借入も含めて借金を減額する
- リースバックで店舗の不動産を売却し、資金を捻出する
- 金融機関と相談して返済条件の見直しを図る
事業を継続するには事業資金の確保が不可欠です。
任意整理の仕組みをよく理解した上で、専門家とも相談しながら慎重に債務整理の方法を選びましょう。
将来的に借金完済を目指す
任意整理は借金の一部を免除してもらえる一方で、借りたお金を全額返済できなくなるデメリットがあります。
「借金は全部返したい」
「いつかは完済して、スッキリした生活を送りたい」
そんな思いを持っている人にとって、任意整理は適さない場合があるのです。
確かに、任意整理をすれば借金を数年で減らせるメリットがあります。
しかし、免除された借金は自己破産と同様に「債務が免除」扱いとなり、残債務が0円になるわけではないのです。
金融機関の立場からすれば、任意整理は債務不履行の一種だと見なされます。
そのため、任意整理をした場合はクレジットカードの利用が制限されたり、新たな借入が難しくなったりするなど、一定期間は信用情報に傷がつくことになります。
もし将来的に住宅ローンを組みたいなら、任意整理をしない方が賢明かもしれません。
任意整理と聞くと、つい借金を減らせる魅力的な制度だと考えてしまいますが、デメリットにも目を向ける必要があるのです。
あなたが目指すのは、借金のない自由な生活ではないでしょうか。
借金完済を目指すなら、以下のような方法を検討してみてください。
- 家計を見直して、コツコツ返済していく
- 債務者の返済能力に合わせた債務整理(リスケ)を金融機関に相談する
- まとまった返済資金を工面するため、生命保険を解約する
「借りたお金は最後まで返す」という強い意志を持つことが、借金地獄から脱却する原動力になるはずです。
任意整理に頼るのではなく、地道な努力を重ねることが肝心だと言えるでしょう。
一時的な楽さより、将来を見据えた行動を心がけましょう。
大切な資産を守りたい
「親から受け継いだ土地は、なんとしても守りたい」
「先祖代々の家は、子供達に残してあげたい」
そう考えているあなたにとって、任意整理は適さないかもしれません。
任意整理では、借金の一部は免除してもらえる一方で、金融機関から財産の処分を求められるケースが多いのです。
親族名義の不動産であっても、債務者が資産価値を実質的に保有していると判断されれば、処分対象になりえます。
せっかく受け継いだ財産を手放すことは、誰もが避けたいことでしょう。
実際に、任意整理をしたことで大切な不動産を失ってしまった例は少なくありません。
司法書士などの専門家に相談しても、「債務整理するなら資産は処分せざるを得ない」と言われるのが通例です。
債務整理の基本原則は、「資産を処分して借金の返済に充てる」というものだからです。
しかし、その原則に従うことが、かえって人生の再スタートを難しくするケースもあるはずです。
家族の思い出が詰まった不動産を処分するのは、経済的なダメージ以上に、精神的な苦痛を伴う選択だと言えます。
あなたが「先祖伝来の資産は絶対に守る」と決意しているなら、任意整理以外の選択肢を考えるべきでしょう。
債務整理は、借金問題を解決するための手段に過ぎません。
資産を守ることの方が、人生の優先事項だということもあるのです。
大切な資産を失いたくないなら、以下のような方法も検討する価値があります。
- 親族や友人から資金援助を受ける
- キャッシュフローを改善し、返済原資を捻出する
- 遊休資産を売却し、取り急ぎ借金の一部を返済する
元金36回~60回分割にした毎月の返済ができない
まず、残元金を36回~60回分割にしたときに、毎月の返済ができなくなる場合には、任意整理は適切な解決策とはなりません。
たとえば、180万円の借金があるとして、60回(毎月返済する場合は5年)で分割すると、毎月3万円の支払いが必要になります。
しかし、家計の状況から毎月3万円の支払いができない場合があります。
このような場合に任意整理をすると、無理なく家計から払える額以上の支払いを5年も継続しなければならず、途中で返済ができなくなってしまうことがあります。
残元金を36回~60回で返済できない場合には、他の債務整理の方が適切な場合があり、任意整理は避けるべきです。
3年~5年の間に収入が下がる
3年~5年の間に収入が減少する場合には、任意整理は適切な選択肢ではありません。
典型的な例は定年間近の方で、再雇用をしてもらえたとしても返済に回せる金額が大幅に減ることが予想される場合です。
任意整理は、一度和解をした返済内容を、収入が減少したからといって簡単に変更できるわけではありません。
このような場合には、任意整理は避け、自己破産や個人再生を利用することが望ましいです。
弁護士・司法書士の費用がカットされる借金の支払いよりも高い
カットされる分よりも弁護士・司法書士への費用のほうが高い場合があります。典型的な例としては、残高が10万円を切るような極めて少ない場合です。
任意整理を弁護士・司法書士に依頼した場合にトータル5万円~7万円かけた場合には、費用がカットされる額よりも高くなる可能性があります。
このような場合は、任意整理をせずにそのまま返済することを検討し、債務の中で任意整理が意味を持つものだけに対して対処することが必要です。
もともとの金利が低い
任意整理は利息・遅延損害金をカットしてもらうことになりますが、もともとの金利が低い場合には、任意整理をしてもカットしてもらえる部分がなく、任意整理をする意味がないことがあります。
公的な借り入れや会社からの借り入れで利息がついていないもの、個人からの借り入れで利息がないものについては、任意整理は必要ありません。
一時的に支払えないだけにすぎない
一時的に支払えない場合には、貸金業者に相談すれば、一時的に利息の支払いのみで免除してもらえることがあります。
冠婚葬祭などで出費が必要な場合には、一時的に支払いが困難になることがありますが、貸金業者に相談することで解決できる場合があります。
税金等の支払いができない
支払えていないものが税金などである場合には、任意整理ではなく、直接税務署・役所と交渉する必要があります。
任意整理は貸金業者との交渉を目的としたもので、貸金業者に返済できない場合に、社会的な立場から強制するための手段です。
しかし、税金などに関しては法律で定められた徴収方法があるため、税務署・役所が裁量で減額することはできません。
支払いが困難な場合には延納という手続きを取る必要があり、この場合は直接役所で事情や支払い計画などについて説明する必要があります。
任意整理をした方がいい人
以上のことを踏まえて、任意整理をした方がいい人は次の通りです。
保証人や担保がある債務がある場合
債権者の中に保証人や担保がある債務がある場合には、債務整理の中でも任意整理をするのが良いです。自己破産や個人再生の場合には、特定の債権者だけを優遇することができません。
しかし、任意整理であれば、交渉をする債権者を選ぶことができるので、保証人や担保がついている債権者を外して債務整理をすることが可能です。
保証人がついていて迷惑をかけたくない、担保となっている物の所有権を失いたくない、という場合には任意整理を利用します。
自己破産・個人再生ができない場合
自己破産や個人再生は借金が多くなって支払不能となっている場合でなければ利用できません。
そのため、借金の額が多くなくても、早めに借金を返してしまいたい場合には、任意整理を利用します。
また、過去7年以内に自己破産や個人再生をしたことがある場合には、再度の手続きはできません。この場合に返済ができない場合には、任意整理をするしかありません。
任意整理のメリット・デメリットを知ろう
任意整理にはメリットとデメリットの両面があります。
借金を減額できるメリットがある一方で、信用情報に傷がつくなどのデメリットもあるのです。
任意整理を検討する際は、そのメリットとデメリットをよく理解した上で、自分の状況に合っているかを見極める必要があります。
ここでは、任意整理のメリットとデメリットについて詳しく解説するとともに、任意整理の適否を判断する際のポイントについてもお伝えしていきます。
任意整理のメリット
任意整理の最大のメリットは、借金を減額できることです。
借入先との交渉次第では、借金の元本を大幅にカットしてもらえる可能性があります。
利息の支払いも停止されるため、毎月の返済額を大きく減らすことができるでしょう。
例えば、500万円の借金があったとします。
任意整理で借入先と交渉した結果、元本を300万円に減額することに成功したとしましょう。
さらに金利が年5%だったのが0%になったとすれば、毎月の返済額は大幅に減ります。
月々の返済が楽になることで、生活に余裕が生まれるはずです。
また、任意整理は裁判所を通さない私的な手続きであるため、時間とコストを節約できるのもメリットと言えます。
弁護士に依頼する場合の費用は、着手金が10万円ほど、報酬金が借金減額額の1割程度が相場だと言われています。
裁判所を通す法的整理に比べれば、任意整理の方が費用負担は軽くなるでしょう。
加えて、任意整理には財産を手放さずに済むメリットもあります。
個人再生や自己破産では、財産を処分して借金の返済に充てることが求められる場合がありますが、任意整理ではそうした必要はありません。
大切にしている資産を守りたいという人にとっては、任意整理はメリットが大きいと言えるかもしれません。
このように、任意整理には借金を減らせる、費用が安い、財産を守れるなど、借り手にとって嬉しいメリットがいくつもあるのです。
借金の重圧から解放されたいと願うなら、任意整理は検討に値する選択肢だと言えるでしょう。
任意整理のデメリット
任意整理のメリットを見てきましたが、一方でデメリットについても知っておく必要があります。
任意整理の最大のデメリットは、信用情報に傷がつくことです。
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されてしまうのです。
具体的には、CICやJICCといった指定信用情報機関に「債務整理をした」という情報が5年から7年間登録されることになります。
この事故情報は、ブラックリストとも呼ばれ、借入の審査に大きな影響を与えます。
ブラックリストに載ると、クレジットカードの作成やローンの借り入れが難しくなってしまうのです。
総務省の調査によると、信用情報機関に登録されている個人は2021年3月時点で延べ1億2,357万人と、国民のほぼ全員に上ります(出典:総務省)。
つまり、信用情報への傷は社会生活に大きな支障をきたす可能性があるということです。
「新しいマイカーローンを組みたい」「子供の教育ローンを検討している」といった場合、任意整理をすると願いが叶えられなくなるかもしれません。
また、任意整理をしたことで「借金を踏み倒した人」というレッテルを貼られ、対人関係にも悪影響が出る恐れがあります。
例えば、「任意整理した」と親しい友人に打ち明けたところ、「借金を踏み倒すなんて信用できない」と言われて、疎遠になってしまったというケースもあるそうです。
さらに、「債務整理をした」という情報は、就職や結婚などの場面でも不利に働く可能性があります。
特に人物の信用を重視する企業では、任意整理の経験がある人の採用には慎重になるかもしれません。
また、お見合いの席で「任意整理をしました」と正直に告白したら、相手の両親から猛反対されてしまうこともありえます。
このように、任意整理にはデメリットも少なくありません。
ブラックリストに載ることで、経済的にも社会的にも不利な立場に置かれる危険性があるのです。
「借金を減らしたい」一心で任意整理に飛びつく前に、デメリットの重大さもしっかり認識しておきましょう。
任意整理の適否は専門家に相談
任意整理のメリット・デメリットを見てきましたが、実際に任意整理をすべきかどうかの判断は難しい問題です。
個人の置かれた状況によって、任意整理が適切な解決策となる場合もあれば、逆に事態をさらに悪化させてしまうこともありえます。
安易に結論を出さずに、専門家のアドバイスを仰ぐことが賢明だと言えるでしょう。
弁護士や司法書士といった債務整理のプロは、依頼者の状況をよく聞いた上で、最適な解決策を提案してくれます。
例えば、「事業を継続しながら借金を減らしたい」という個人事業主の方には、個人再生を勧めることもあるでしょう。
「親族に内緒で借金問題を解決したい」という相談者には、家計のやりくりを見直すアドバイスをするかもしれません。
大切なのは、一人で悩まずに専門家に相談することです。
多重債務に苦しむ人の中には、「借金のことを他人に知られたくない」という心理から、誰にも相談できずに問題を深刻化させてしまうケースが少なくありません。
しかし、借金問題の解決には、弁護士などのプロの知恵を借りることが不可欠なのです。
実際、借金問題の解決には専門知識だけでなく、交渉力や柔軟な発想力も必要とされます。
例えば、債権者との交渉は問題の裏事情をよく知る弁護士の方が有利に進めることができますし、過去の事例に基づく独自のソリューション案を提示してもらえる可能性もあります。
自力で解決を図るのではなく、プロの力を上手に活用するのが債務整理の鉄則だと言えるでしょう。
では、どのようにして専門家を探せばよいのでしょうか。
まずは、日本弁護士連合会の「法律相談センター」や、各都道府県の弁護士会が運営する無料相談窓口を利用するのがおすすめです。
こうした公的な相談窓口では、債務整理に詳しい弁護士や司法書士を紹介してもらえます。
ただし、弁護士選びにはいくつか注意点もあります。
まず、過去に債務整理を数多く手がけた実績があるかどうかを確認しましょう。
債務整理のノウハウが豊富な弁護士ほど、依頼者に的確なアドバイスができるはずです。
また、初回相談は無料という法律事務所を選ぶことも重要です。
債務整理の相談は1回きりでは終わらないことが多いため、相談料が無料であれば、遠慮なく何度でも足を運べます。
いずれにせよ、借金問題を一人で抱え込まずに、まずは専門家に相談することが肝心です。
客観的な立場から見た、プロのアドバイスは必ず道筋を示してくれるはずです。
任意整理以外の選択肢とは?
任意整理以外にも、借金問題を解決する方法はあります。
他の法的整理の手続きを検討することで、支払いに窮している借金を大幅に減らせる可能性があるのです。
しかし、法的整理にはデメリットもあり、誰にでも適しているわけではありません。
自分に合った債務整理の方法を見つけるには、それぞれの特徴をよく理解した上で、専門家に相談することが大切でしょう。
ここでは、任意整理以外の選択肢として、個人再生と自己破産の概要を説明します。
そして、弁護士や司法書士への相談方法についてもアドバイスします。
個人再生の手続きと費用
個人再生は、裁判所に再生計画を提出し、過重な借金を整理する手続きです。
「任意整理では借金の減額幅が小さい…」
「住宅ローンの支払いは続けたい…」
こうした悩みを抱えている方にとって、個人再生は魅力的な選択肢と言えるでしょう。
個人再生の主なメリットは以下の通りです。
- 大幅な借金減額が可能:
個人再生では、借金の元本を最大で5分の1まで減らすことができます。任意整理と比べて、大幅な借金減額が見込めるのです。 - 住宅ローンが対象:
任意整理では対象外となることが多い住宅ローンも、個人再生では借金減額の対象に含めることが可能です。
ただし、住宅ローンの特則を利用すれば、住宅ローンを従来通り支払いながら、他の借金だけを減額できます。 - 過去の取り立てからの解放:
個人再生を申し立てると、それまでの借金の取り立てが止まります。
延滞が続いていた借金の督促から解放されるため、心理的・経済的な負担が大幅に軽減されるでしょう。
ただし、個人再生にはデメリットもあります。
弁護士費用や予納金などの手続き費用がかかること、個人信用情報に5年間記録されること、借金の減額幅は個人の収入や資産に応じて決まることなどは注意が必要です。
手続きの流れとしては、まず弁護士に相談し、必要書類を準備します。
そして、裁判所に個人再生の申し立てを行い、手続き費用を納付します。
その後、債権者集会を経て再生計画案を提出し、認可されれば3年間の分割払いがスタートするという流れになります。
費用面では、弁護士への報酬が40万円前後、裁判所への予納金が10〜20万円程度必要となるケースが多いようです。
ただし、分割払いが可能な場合もあるため、まずは無料相談を利用して、弁護士とよく相談することをおすすめします。
自己破産のメリットと注意点
自己破産は、支払い能力を超える借金を抱え、再起が難しいと判断された場合に、残っている財産を処分して借金を帳消しにする手続きです。
「借金を完済する見込みが全くない…」
「取り立てに悩まされている…」
このように、借金返済で行き詰っている方にとって、自己破産は最後の選択肢として検討に値するかもしれません。
自己破産の最大のメリットは、膨大な借金をゼロにリセットできる点です。
原則として、申立て時点の借金が全て免責され、残債を気にせず新しい人生をスタートできるのです。
また、個人再生と同様に、申し立て後は取り立てが止まるため、借金の督促に悩まされずに済みます。
ただし、自己破産にはデメリットも多くあります。
破産者の財産は、原則として全て処分されること、個人信用情報に10年間、記録が残ること、一定期間の職業制限があることなどは、慎重に考える必要があります。
また、自己破産をしても免責されない借金もあります。
例えば、養育費や罰金、学資ローンなどは、自己破産をしても支払い義務が残るため注意が必要です。
手続きの流れは、個人再生と似ています。
まず弁護士に相談し、必要書類を揃えます。
そして、裁判所に申し立てを行い、免責不許可事由に該当しないか審査されます。
問題がなければ、免責決定がなされ、破産手続きが終了します。
費用としては、弁護士費用が30〜50万円程度、予納金が10〜20万円程度かかるのが一般的です。
ただし、財産がない場合は、免除される場合もあります。
自己破産は、万全の選択肢と言えるので、メリット・デメリットをよく理解した上で、弁護士とよく相談して判断することが大切です。
弁護士・司法書士に相談して最適な債務整理を
ここまで見てきたように、個人再生にも自己破産にも、メリットとデメリットがあります。
「借金を大幅に減らしたいけど、住宅は守りたい」という方には個人再生が、
「借金を帳消しにしたいけど、ブラックリストに載るのは嫌だ」という方には自己破産が適している、といった具合に、状況に応じて選択すべき債務整理の方法は異なるのです。
しかし、個人再生や自己破産は、専門的な知識がないと適切な判断が難しい手続きと言えます。
メリットばかりに目を向けて安易に選択すると、かえって状況が悪化してしまうおそれもあります。
債務整理は、人生を左右する重大な決定です。
しかし、借金問題で思い悩んでいる時は、一人で冷静に判断することは難しいもの。
だからこそ、弁護士や司法書士といった専門家に相談することが何より大切なのです。
弁護士・司法書士への相談は、以下のような手順で進めると良いでしょう。
- 無料相談を利用する:
多くの法律事務所では、初回相談は無料で受け付けています。
まずは気軽に無料相談を申し込んで、現在の状況を話してみましょう。 - 複数の事務所に相談する:
一つの事務所の意見だけではなく、複数の事務所に相談することをおすすめします。
弁護士によって意見が異なる場合もあるので、比較検討することが重要です。 - 相性の良い弁護士を選ぶ:
債務整理は、弁護士との信頼関係が何より大切です。
相談しやすく、親身になって対応してくれる弁護士を選びましょう。
このように、信頼できる弁護士・司法書士を見つけることが、債務整理を成功させる鍵となります。
借金の悩みを抱え込まずに、勇気を出して専門家に相談する。
それが、借金地獄から抜け出すための第一歩なのです。
借金問題は、一人で悩んでいても解決しません。
任意整理にこだわらず、様々な選択肢を視野に入れることが重要です。
そして、弁護士・司法書士といった頼れる専門家に寄り添ってもらいながら、自分に合った債務整理の方法を見つけていく。
それが、借金のトンネルを抜け出して、再出発するための近道なのだと、筆者は考えています。
任意整理とは?基礎知識をおさらい
任意整理とはどのようなものか確認していきましょう。
任意整理とは
任意整理とは、債務整理の一種であり、貸金業者と交渉して、借金を軽減する方法です。
貸金業者と交渉し、減額された金額で和解契約(または準消費者金融契約)を結ぶことで、新しい条件で返済することができます。
個人の債務整理においては、「任意整理」という用語が一般的に使われますが、時には「私的整理」「内部整理」と呼ばれることもあります。
任意整理は、債権者と個別に交渉するため、不利益を生じる債権者(例えば、連帯保証が付いた奨学金や、担保が付いた住宅ローンなど)を除外することができ、柔軟な債務整理が可能となります。
任意整理での債務軽減の程度
交渉によって内容は変わりますが、通常、任意整理では元金を36回〜60回の分割払いで返済することになります。
従来の契約では、利息と一緒に返済しなければならず、延滞した場合には遅延損害金も発生しますが、任意整理では利息や遅延損害金がカットまたは大幅に減額されることがあります。
他の債務整理の手続きとの比較
債務整理には、任意整理以外の手続きがあります。自己破産では債務が免責され、個人再生では大幅に減額された債務を分割して支払うことができます。
任意整理は元本の支払いが必要ですが、自己破産や個人再生に比べると減額される範囲が異なります。
任意整理の流れ
任意整理の手続きは以下の通りです。
- 弁護士または司法書士に相談・依頼
- 貸金業者と交渉
- 和解契約書を取り交わす
- 返済を開始する
任意整理は契約に基づいて行われるため、貸金業者と自分で交渉することもできます。
しかし、元金の分割払いの和解をするためには、弁護士または司法書士の支援が必要です。通常、弁護士または司法書士に依頼して手続きを進めます。
任意整理は弁護士・司法書士どちらに相談・依頼するのが良い?
債務整理については、弁護士・司法書士の両者が取り扱っています。しかし、司法書士は権限の制限があるため、向かないことがあります。
一方、任意整理では、債務の額が140万円以下であれば、弁護士と司法書士の間に権限の差はあまりありません。
そのため、司法書士の中には任意整理に強い専門家もいますので、相談してみることをお勧めします。
任意整理に失敗するとどうなるのか
任意整理をしないほうが良い人として、「元金を36回〜60回に分割して返済することができない」人を挙げさせていただきました。
途中で返済ができなくなり、任意整理が失敗するからですが、任意整理に失敗するとどうなるのか、詳しく見ていきましょう。
任意整理をするとどのような返済義務を負うか
まず、任意整理後にはどのような返済義務を負うのか確認しましょう。任意整理では、債務者と債権者が和解し、債務者は元金を36回〜60回の分割で返済することが決まります。
例えば、残元金が30万円の貸金業者に対して、毎月5,000円の返済を60回分割で行うことになった場合、残債務を全て返済するためには5,000円×60回=300,000円が必要となります。
返済できず任意整理に失敗するとどうなるのか
では、返済ができず任意整理に失敗した場合はどうなるのでしょうか。
任意整理の和解書には、返済ができなかった場合の取扱いについても記載されています。多くは、2回ないし2回分の返済が滞ると、残った元金を一括請求することができるとされています。
つまり、毎月5,000円の返済をする任意整理を組んだ場合には、2回分の返済が滞ると、5,000円×2回分=10,000円分の返済が滞ったことになり、債権者は残りの元金を一括請求することができます。
当然、一括請求額を返済することは難しいため、再度債務整理を行う必要が生じます。
任意整理に失敗すると周りの人にバレる?
任意整理に失敗した場合、周りの人に知られてしまうことはあるのでしょうか。
実は、任意整理に失敗すると、債権者からの督促が自宅に届きます。そして、それを無視すると、債権者は裁判を起こし、最終的には財産の差し押さえを行うことがあります。
自宅に同居している人がいる場合には、郵送物でバレてしまう可能性があります。
また、差し押さえの対象として給与が差し押さえられることがありますが、この場合には会社に対して通知がされますので、会社に知られてしまうことになります。
したがって、任意整理に失敗する前に、弁護士や司法書士に相談し、適切な対策を講じることが大切です。
任意整理をするなら早めに行動しよう!おすすめの法律事務所3選
どのような場合でも、任意整理は36回~60回の分割返済ができないと利用できません。
債務整理をするかどうか悩んでいるうちに、借り入れが増えてしまい、任意整理で返済できない状態になると、任意整理の利用ができなくなってしまいます。
任意整理を債務整理の選択肢に入れたい場合は、借金が大きくならないうちに、弁護士や司法書士に相談をするようにしましょう。
サンク総合法律事務所
名称 | 弁護士法人サンク法律事務所 (旧:樋口総合法律事務所) |
---|---|
所属 | 第二東京弁護士会 |
所在地 | 東京都中央区八丁堀4-2-2 UUR京橋イーストビル2階 |
電話番号 | 0120-281-739 |
代表弁護士 | 樋口 卓也 |
ホームページ | https://thank-law.jp/ |
サンク総合法律事務所は、借金問題に特化した法律事務所として、任意整理や自己破産などの債務整理にも力を入れています。
特設サイトでは、債務整理についての基本情報や手続きの流れなどを分かりやすく解説しており、借金問題を抱える人々にとって、貴重な情報源となっています。
また、弁護士による無料相談も実施しており、個々のケースに応じた適切な解決策を提案しています。
任意整理の費用
- 着手金55,000円~/件
- 報酬金11,000円~/件
- 減額報酬11%
- 過払い金報酬 回収額の22%(訴訟の場合には27.5%)
弁護士法人・響
名称 | 弁護士法人 響(ひびき) |
---|---|
所在地 |
|
電話番号 |
|
代表弁護士 | 西川研一 |
ホームページ | https://hibiki-law.or.jp/ |
グループ |
|
弁護士法人・響は、全国6ヶ所に拠点を有し、多数の弁護士を抱えるとともに、税理士法人・行政書士法人・社会保険労務士法人・調査会社(探偵)とグループを組んで活動をしている弁護士法人です。
また、テレビ・ドラマの法律監修など、メディアでも活躍しています。
響は債務整理にも力を入れており、任意整理に関する特設サイトを開設し、蓄積されたノウハウを積極的に発信しています。
債務整理の相談にも、経験豊富な弁護士が丁寧に対応してくれます。
任意整理の費用
- 着手金55,000円
- 解決報酬金 11,000円~
- 減額報酬金 減額分の11%
弁護士法人ひばり法律事務所
名称 | 弁護士法人ひばり法律事務所 |
---|---|
所在地 | 東京都墨田区江東橋4丁目22番4号6階 |
代表弁護士 | 名村泰三 |
電話番号 | 03-5638-7288 |
FAX番号 | 03-5638-7289 |
業務時間 | 平日午前10時~午後7時 |
公式ホームページ | https://hibari-law.net/ |
弁護士法人ひばり法律事務所は、債務整理に関する情報発信を中心にしていることから、任意整理に強みのある事務所として知られています。
公式ホームページでは、自己破産や過払い金返還請求などの債務整理に関する情報が詳しく掲載されており、債務整理の知識や手続きについて理解を深めることができます。
また、名村泰三弁護士は、債務整理の分野で20年以上の経験があり、実績も豊富です。
任意整理の費用
- 着手金 22,000円/1社
- 報酬金 22,000円/1社
- 減額報酬 11%
- 経費 5,500円/1社
まとめ
今回は、借金返済に窮している方に向けて、
- 任意整理をしない方がいいケースとは
- 任意整理のメリット・デメリットを知ろう
- 任意整理以外の選択肢を検討しよう
主に上記について、司法書士としての知見と経験を交えながらお話ししてきました。
任意整理は、債権者と個別に交渉するという特徴を持ち、保証人が存在する場合や債務整理の対象から除外したい債務がある場合に適している債務整理方法です。
しかし、返済が前提の手続きであるため、借金が膨らむ前に早めに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
任意整理は借金を減らせる有力な手段ですが、すべての人に適しているわけではありません。
事業や生活を守るためには、一人ひとりの状況に合わせた債務整理の方法を選ぶことが大切なのです。
画一的な解決策ではなく、オーダーメイドの債務整理プランを専門家と一緒に考えていきましょう。